魔法がなくても


「まあ……触っちゃいけない気はする。けど近寄れば何か分かるかも」

「あ、星羅!ぼくも行く!」


近付かないと魔力が感じられないものもあるから、おそるおそる私と乃蒼は箱のもとへ。


「……乃蒼ストップ。やっぱりただの落とし物じゃないよこれ」

「え?ぼくはまだ何も──」

「なら、俺が理事長に届けてくるよ」


……え?

すたすたと私たちの横を通り過ぎていく宙くん。


「ちょっと待って!」


箱へと手を伸ばす宙くんを止めるため走り出すも……宙くんの指先が触れた瞬間、視界がグニャリとゆがんだ。






「──痛っ……」


ガツン、と尻もちをついた衝撃に思わず閉じていた目を開けると、目の前に宙くんがいた。


「ご……ごめん!」


にわかに顔を赤らめる宙くんがごめんと何度も私に言ってくる。
とりあえず大丈夫と肩をたたき、周りを見渡して明らかに私たちがいた場所じゃないことを確認した。