魔法がなくても


「その変化で魔法が使える!とかもないの?」

「それが全くなくて……いっけんありそうなのに。俺の体、意味不明なことばっかだよね」


はぁ、とため息をついて肩を落とす宙くん。

さっきまで楽しそうだったのに……どうしたら──

うつむきがちな顔に変化した目。
その下には、気づかなかったけど疲れや悩みのあらわれがあった。


「色々と宙くんなりに悩んで、目の下にくまができてるってわけね?」

「え?っそれは知らなかった」


また鏡で自分の顔を見て『おわぁ……ひどい』と自分に苦笑いしている後ろを通り、私はドレッサーから星型の小瓶を取り出す。


「星羅、それは?」

「安眠用のアロマだよ。この学園……というか島には変わった植物があるから。それと魔法で調合したのがこのアロマなの」


ふたを開けて軽く手であおぎ、アロマの香りをかいでもらった。


「いい香り……確かにこれかいだら眠れそう」

「たまに使ってるの。宙くんも良かったらどうぞ。好きなのここから選んで?」


ドレッサーの引き出しをあけて、ずらりと並ぶ小瓶たちに再び宙くんの目はかがやいた。