まだ青い彼

「いや、何か、いいのかなって。もったいぶるものじゃないのわかってるし、ここまで来てって……」

 恥ずかしくて早口になってしまう。

「ああ。まぁね。まだ腹くくってない状態で連れて来たのは確かだな」
「腹、くくる……」

 何だか見透かされていて顔がカッと熱くなった。からかったわけではないらしく、ふっと私に笑いかけた。

「こんなとこまで連れてきてなんだけど、別に今日は話すだけでもいいよ」
「でも……」

 ほんとに?みたいな顔で見てしまって、彼は吹き出した。

「や、いいんだって。二人でゆっくり話すつもりだったし、夜遅いから寝れるとこって思って泊りにしたわけで。まぁ、期待はしてるので。紳士ぶってるつもりもない。つか、俺が何で()()()たててるかわかります? 」
「何で……? 同意無き性行為は犯罪……」
「あはははは! そりゃそうだ。一般的にはね。今は、俺たちの話をしよ」
「あ、うん。そうね」
「先を考えてるから、だよ」
「先? 」

 彼は微笑んだまま、うん、と頷いて続けた。

「今日で会わないとかだったらさ、あとのこと考えずに自分勝手にしたいことするんだけど、そうしないの、何でだと思う? 」

 私が答えを口にする前に、言いたくて仕方がないような顔をした。待ちきれない、そんな顔だった。

「これからも、春美さんと過ごしたいんじゃん。だから、今日でダメにしたくないだろう。一緒にどこ行こうかなとか、何しようかなとか考えてるんだからさ」
「……なるほど」

 迂闊にも絆されそうになって目が泳ぐ。何か、口上手くない?
 にじり、にじり、あざとく顔を近づけて来る。

「うん。とか言って、今俺こうやって圧かけてんの」
「ふっ」

 ダメだ、もう。可愛すぎて吹き出してしまった。もう抗えないよ、私の負け。