まだ青い彼

 だけど、私はもう少し掘り下げたい。
 
「もしかして、だけど……。彼女はつき合った当初あなたの年齢を知らなかった、とか? 」
「そう。友達が俺の年齢を嘘ついて24て言ってたみたい。それこそ、朝は早いし、バイトで帰りは遅いし。疑わなかったみたいで……。『やっと酒飲めるー』って言ったのがきっかけで彼女が勘違いしてたことも俺は知らないし、しばらく向こうは色々葛藤あって別れるつもりだったみたい。で、結局最後はアレで終わり」
「……友達が悪くない? 」
「それな。でも、本人はそんなこと言ったのもすっかり忘れて、いやいや、見りゃわかんじゃん。信じる方がおかしくね? って感じ。確かに、そっから俺が彼女とちゃんとコミュニケーション取ってたらすぐに分かったことだよなーって思って。まぁ、何か色々重なった。普通に付き合って普通に別れたのとかわんないよ、俺的にはね。ただ紙挟んじゃったからもの凄い大事(おおごと)になって、俺は一人暮らし引き払って実家に連れ戻された。未だにまだ実家にいる。めっちゃ不便」

 眉を下げて説明するから、気の毒に思ったけど彼が残念に思っているのは不便だってことだけみたい。

「そうだね、紙さえ出さなかったら、ただ恋が終わっただけかもしれないね」
「友達が嘘つかなかったら、始まりもしなかった恋だよ。向こうにとったらね」
「……平気? もう」
「ん? うん。俺もう、前向いてるじゃん」

 彼はそう言って人差し指で自分の瞳を指し、視線を辿るように指先を私に向けた。
 私は恥ずかしくてそのまま彼の指先を見ていた。

 彼はもう10代ではないけど、そんなに何もかわらない。だから、いいのかな……。本当はダメだと思う。だけど、ここで拒絶できるだろうか。