まだ青い彼

「うん。何が問題? 」

 私が無反応で、彼は、ははっと笑って腕組みすると私の横に座りなおす。

「まだ、気になっていることがある」
「おお、何でも聞いて、どうぞ」
「あなたの結婚歴。いつ結婚したのかなって」
 すっと彼の顔から笑みが消え、目を伏せた。
20歳(はたち)の誕生日を3日後に控えた日。バツイチって言っても紙出しただけで、結婚生活はしてないんだ」
 は?と首を傾げる私に彼は屈託なく笑った。
「彼女が結構年上で。当時28。うん。で、結婚したいのに俺がまだ学生だからってどうしようもないことで口喧嘩になって、私の事何も考えてない! 本気じゃない! みたいになって。俺は本気だし! ってことで」
 ……8歳差ってこと。え、じゃあ、彼女は10代の子と付き合ってたってこと。かなり、レアケースだと思うけど。頭の中で状況を整理する。
「結局、婚姻届けを? 出したってこと? 」
「婚姻届けって色んな種類あるの知ってた? 可愛いのが雑誌の付録に付いてたりダウンロードできたりするんだって。それを彼女は自分のところも書いて証人の欄も書いてもらったものをお守り代わりに持ち歩いてたんだ。幸せな結婚が出来るっていうジンクス。結婚したい人が出来た時に使うって……」
 
 嘘だったね、そのジンクス。幸せになってないじゃない。私は心の中で吐き捨てる。かわいい婚姻届けに興味はあるけど、彼女も結婚に夢を持っていたのかな。
「それ取り上げて、書いて、突き出したら余計キレられて。無責任! とか、軽々しい! とか。あと……大事なそれ()()()()()()()を横に書きたいと思ってためっちゃ大事にしてた婚姻届けで、俺が書いたことにも腹が立ったみたい」
「いくら結婚したくても、届を出さなかった彼女は常識あると思う。やっぱり、出さないと思うよ。結婚したいってそういう手続きだけの問題じゃない。本当に好きな人、とか言うのはひどいと思う、けど……」

 自分の恋人が学生、しかも10代だと結婚したいともなかなか言えないと思うな。結婚したくても相手はこの子じゃないと思ってしまうかも。