まだ青い彼

「俺は七瀬広睦(ななせひろむ)21歳。今年22歳になる。誕生日は11月27日。H大4年。学部は経済。バイトはこの前言ったか。講師は、今年受験生担当外してもらったから夏明けたらやめる。就職はSKグループで、配属とかはまだ。でも営業っぽいなーって感じ。あの何だっけなんたらテストで適正みたらそんな感じだった。社内公募制度があるからそのうち自分の行きたい部署いけるかもって人事の人は言ってた。俺的にはまだ自分に何向いてるかわかんないかなーってこんくらいでいい? 情報」
「いや、ねえすごくいい所に就職決まったんだね。そっか、でもバイトで塾講師とかできるってことは頭が良いんだね」
「まさか。講師は難しいよ。変に間違えたこと教えられないしね。社員の講師と情報共有して何とかやってる。俺自身は高3の夏休みは部活引退後ホッとしてぼーっとしてたら終わってて、親が慌てて塾やら何やら走り回ってた覚えある」
「夏休み遊んでH大!? それならもっと最初から取り組んでたらかなりいいとこ入れたんじゃないの!? 」
 思わず食いついてしまって前のめりになる。
「それはどうだろ。そん時のそん時だから。大学なんて言われるがまま、あんまりピンとも来てなかったな。だから、塾では早くからだぞーなんて言ってる。どこでスイッチ入れるかだぞ、つって」
「自分の経験談……」
「そ、ぼーっとしてたらだめだってこと」
「随分巻き返したのね」
「あの頃ほぼ寝て無くて記憶飛んでる」
「寝てたから記憶ないんじゃないの? 」
「ああん? 」

 からかうと怒ったふりをする。

「ははは」
 楽しくて声を出して笑う。

「俺、部活ばっかしてて今考えたらブラック部活で彼女も出来たけど忙しくてあんまり続かなくて、引退して勉強ばっかして気がついたら大学生になってた感じ。それで、気づいてたらびっくりするくらいモテてた。モテてる自分に自分が一番驚いてたな。今は、モテることにも慣れて、ちょっと面倒……」

 じと目で見てくるから

「ごめんて……」
 ばつが悪く謝ると今度は彼がケタケタと笑った。そうだよ、よく知らないのに告白しちゃう私のような女が後をたたないってことね。