まだ青い彼

「ちょっと、どこ行くの? 」
「え、だから泊まるとこだけど」
「本当に泊まるの……? 」

 服の裾を持って彼を引き留める。

「そうだけど。そう言ったのに用意持って来て無いの? 俺は別に春美ちゃんちでもいいけど入れてくれなさそうだし、家だと帰ってって言いにくいっしょ? あと無理やりとか言われたら悲しいので、事前意思確認の意味もある」

 機嫌が直ったのか照れくさそうに笑うからうっかり流されそうになる。そこ気遣いできるなら、他に気遣うべき大きな案件があるでしょうが。

「私は、やっぱり……」
「そういえば、私服って普段そんな感じなんだ? いつもと違うね」

 この子にも指摘されてかぁっと顔が熱くなった。そんなつもりなかったけど、無意識で()()()()()()()()()

「そう、かな。ちょっとたまたま今日はカジュアルダウンというか」
「うん。可愛い。で、お泊りの用意は? 」
「……してる。一応。一応だからね! 」

 そう、なんだかんだ言って泊まる準備も下着もそうしてる。出来ていないのは心の準備だけで……。

「はは、うん。行こ。こんなとこ立ってるのも意味わかんないし、まだ話さなきゃならないことがたくさんある、だよね? 」

 いたずらっぽく笑う彼に手を引かれ、私はずっと心の中で言い訳を重ねていた。

 そう、話さなきゃならないことがたくさんあって。
 まだよく知らない人だけど、自分から声をかけて怪しむのはどうかと思うし、もし遊ばれてもあくまで自己責任で、そもそも大人側がもったいぶるものではないんじゃあ。でも、まだ学生なら私が諭すべき……。
 結局何が正しいかわからないけど、自分が蒔いた種を振り切れないままここまで来てしまっていた。