まだ青い彼

「え? 」
「お前、セクハラだ」
 橘さんが三宅くんを詰める。何だか、いたたまれない。橘さんの動揺が見て取れ、私に感染し、変な雰囲気を打破するのに口を開いた。

「あの子は親戚みたいなもので、私と血縁関係があるわけじゃないし、彼の容姿と私は全く無関係だから! 」
「……え」
「そうなの? 」

 しまった、とハッとする。
 どうして動揺すると余計な事言っちゃうんだろう。

「え、じゃあ、どんな関係なんだよ。今日、夜に二人で会うって……」
「まぁまぁ、無粋だって、三宅」
「あー、橘さんはあの男の子見てないからそう言えるんすよ、マジでイケメ……」
「そういうの、踏み込むもんじゃない。お前なぁ、これから年取るんだから余計気を付けなきゃなんない。いいか、アップデート、世間の流れ! 自分が思うよりずっと自分はおじさんだってことを理解して……」
「んふ」
 橘さんに延々と詰められてる三宅くんについ、吹き出してしまう。

「助けてくれよ、東谷。お前だから気にしただけじゃん」
「ははは。そうだね、ありがとう。そんなんじゃないから大丈夫だよ」
「まぁ、わかってるけど」

 二人のやり取りは懐かしいものがあって笑えた。

「やっぱねぇ、同年代楽だわ」

 三宅くんはそう言って笑った。そうだね、余計なことを考えずに済む、同年代ってやっぱり楽だ。私もそう思うよ。
 見慣れた二人もいつの間にか滅多に見られない二人になってしまって、もうすぐもう見られない二人になるのかな……。
 
 三宅くんも、橘さんも。それから、眞鍋くんも……。
 『東谷、美人だよ。今まで生きてきたら直接言われなくても周りの反応とか態度とかで自分の位置わかるだろう。気づかなかったのかよ』

 過去の出来事は、タイミングやチャンスを逃したみたいで落ち込んだけど、嬉しいのも事実だ。遅いかもしれないけど、そうだったのかって少しだけ自分に自信が持てた気がする。