「あーっ、橘くん! 東谷さんとの並び懐かしい」
橘さんと同期の須田さんが私たちが並んでいるのを見つけて目を細めた。
「そうだな。あれからもう10年……か」
「はっやいよねぇ。年取るわけだ」
そこから、私はまた誰かと誰かの会話に入るわけでもなく、かといって話を振られた時には適度に返事が出来るよう輪に入っていた。
「橘くん、こっち戻ってこないの? 」
「うーん、多分? 」
「そうね。子供が出来た時のことを考えたら奥さんのご実家が近い方が何かとね」
ふうん、と聞いていた。そういうもんなんだって。橘さんへの淡い気持ちが久しぶりに思い返された。胸が痛むほどじゃないけど結婚式の後となると虚しさに拍車をかける。私はまだ相手もいないことに。橘さんにもまだ子供がいないことに微かに安心したりして。結婚している人は私より一歩進んでいて、子供がいる人は二歩進まれた気がするから。もしそうなっても、男の人だし、とかいろいろ言い訳するんだけどさ。いつの間にか心の中で進んでいく人と比べては自分は遅れている気がして焦っては落ち込んでしまう。
頭ではこんなの、人それぞれだってわかっているのに――。私、いつからこんなに結婚したかったんだろう。
「……でもさ、橘くんて東谷さんとデキてるのかと思った時あったよ」
ぼーっとしてしまっていて、不意に自分の名前を呼ばれたことで意識が戻った。
「はは、いや、もう時効だから言うけど、可愛いなって思ってる時期あったよ。でもさすがに距離近すぎだろってセーブしたわ。教育係が何してんだって思われてもなぁ」
橘さんはほろ酔いなのかそう口にした。
え、と彼を凝視した。……あのころ、私が橘さんに抱いた感情を橘さんも持ってくれてたってこと?
橘さんと同期の須田さんが私たちが並んでいるのを見つけて目を細めた。
「そうだな。あれからもう10年……か」
「はっやいよねぇ。年取るわけだ」
そこから、私はまた誰かと誰かの会話に入るわけでもなく、かといって話を振られた時には適度に返事が出来るよう輪に入っていた。
「橘くん、こっち戻ってこないの? 」
「うーん、多分? 」
「そうね。子供が出来た時のことを考えたら奥さんのご実家が近い方が何かとね」
ふうん、と聞いていた。そういうもんなんだって。橘さんへの淡い気持ちが久しぶりに思い返された。胸が痛むほどじゃないけど結婚式の後となると虚しさに拍車をかける。私はまだ相手もいないことに。橘さんにもまだ子供がいないことに微かに安心したりして。結婚している人は私より一歩進んでいて、子供がいる人は二歩進まれた気がするから。もしそうなっても、男の人だし、とかいろいろ言い訳するんだけどさ。いつの間にか心の中で進んでいく人と比べては自分は遅れている気がして焦っては落ち込んでしまう。
頭ではこんなの、人それぞれだってわかっているのに――。私、いつからこんなに結婚したかったんだろう。
「……でもさ、橘くんて東谷さんとデキてるのかと思った時あったよ」
ぼーっとしてしまっていて、不意に自分の名前を呼ばれたことで意識が戻った。
「はは、いや、もう時効だから言うけど、可愛いなって思ってる時期あったよ。でもさすがに距離近すぎだろってセーブしたわ。教育係が何してんだって思われてもなぁ」
橘さんはほろ酔いなのかそう口にした。
え、と彼を凝視した。……あのころ、私が橘さんに抱いた感情を橘さんも持ってくれてたってこと?



