「いいけど……」
抑揚なくそういう彼にやっと通じたとホッとする。
「じゃあ……」
「うん。いいよ、俺。結婚しても」
は?
「はぁ、無理でしょ現実的に! 」
電車内なことも忘れ声を張り上げてしまって慌てて口を押えた。
「出来るよ」
「あのねぇ」
その安易な発想が余計に“学生”って感じがしてムッとする。
「出来るよ、だって俺1回結婚してるもん」
ハッと息が止まる。そうだ、この子は“結婚”の経験があるんだった。私がしたくてたまらない結婚の経験が。
「そ、う……だったわね」
私が反論できずに言葉を失うと彼はふっと笑った。
「あのさ、俺のこと好きだって言っといて一瞬で好きじゃなくなるなんて、年齢ってそんなに大事なの」
見透かされていてかぁっと頬が赤くなるのを感じた。自分の浅はかさを指摘されたようで恥ずかしい。
「ごめんなさい」
「いーや、許さないね」
ふざけた口調に顔を上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「許してよ“気になる”くらいだったの」
「そう、でもまぁ勝手に勘違いしてそっちから声かけてきて、それはないんじゃない? 俺はさ、嬉しかったんだよ。綺麗なお姉さんに声をかけられて」
「……うん」
気持ち悪いと思われる想像はしていたから声をかけたことに好意的でほっとするのも事実だ。
「でも年齢がネックになる理由が『結婚』なら問題ないね。俺は結婚する気があるんだから」
「え……? 」
どういうこと?理解できずにフリーズしていると
「よろしくね、春美ちゃん」
語尾にハートマークでもつきそうな口調で彼――七瀬広睦(21)は不敵に笑った。
「え、何でそうなるの。どうしてそんなに私にこだわるのよ」
「何でって、好きだから? 」
なんだよ、その疑問形。驚いて目を見開き彼をよく見ようとしたけど、ニカっと笑うだけ。
「いやいや、こんな短期間で『好き』はないでしょう? 」
「じゃあ、『気になるくらい』でいいや」
七瀬広睦は私の言葉を引用して、私に顔寄せて微笑む。まさか、自分が発した言葉に追い詰められることになろうとは……。詰められたパーソナルスペースに顔が赤らむのを止めることが出来なかった。
抑揚なくそういう彼にやっと通じたとホッとする。
「じゃあ……」
「うん。いいよ、俺。結婚しても」
は?
「はぁ、無理でしょ現実的に! 」
電車内なことも忘れ声を張り上げてしまって慌てて口を押えた。
「出来るよ」
「あのねぇ」
その安易な発想が余計に“学生”って感じがしてムッとする。
「出来るよ、だって俺1回結婚してるもん」
ハッと息が止まる。そうだ、この子は“結婚”の経験があるんだった。私がしたくてたまらない結婚の経験が。
「そ、う……だったわね」
私が反論できずに言葉を失うと彼はふっと笑った。
「あのさ、俺のこと好きだって言っといて一瞬で好きじゃなくなるなんて、年齢ってそんなに大事なの」
見透かされていてかぁっと頬が赤くなるのを感じた。自分の浅はかさを指摘されたようで恥ずかしい。
「ごめんなさい」
「いーや、許さないね」
ふざけた口調に顔を上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「許してよ“気になる”くらいだったの」
「そう、でもまぁ勝手に勘違いしてそっちから声かけてきて、それはないんじゃない? 俺はさ、嬉しかったんだよ。綺麗なお姉さんに声をかけられて」
「……うん」
気持ち悪いと思われる想像はしていたから声をかけたことに好意的でほっとするのも事実だ。
「でも年齢がネックになる理由が『結婚』なら問題ないね。俺は結婚する気があるんだから」
「え……? 」
どういうこと?理解できずにフリーズしていると
「よろしくね、春美ちゃん」
語尾にハートマークでもつきそうな口調で彼――七瀬広睦(21)は不敵に笑った。
「え、何でそうなるの。どうしてそんなに私にこだわるのよ」
「何でって、好きだから? 」
なんだよ、その疑問形。驚いて目を見開き彼をよく見ようとしたけど、ニカっと笑うだけ。
「いやいや、こんな短期間で『好き』はないでしょう? 」
「じゃあ、『気になるくらい』でいいや」
七瀬広睦は私の言葉を引用して、私に顔寄せて微笑む。まさか、自分が発した言葉に追い詰められることになろうとは……。詰められたパーソナルスペースに顔が赤らむのを止めることが出来なかった。



