まだ青い彼

 このまま連絡来なくなるパターンあるんじゃないかと思ったけど、それもやっぱり不誠実かとこちらから会う日を決めようとスマホを持った。
 わざわざ会わなくても朝の電車で話せばいいんじゃないかと気が付き、その旨連絡することにした。

 『明日は朝早くないんだよね 金曜の夜は? 次の日休みでしょ』

 彼からはこう返信があった。金曜は、三宅くんの送別会だっけ……。なんだか、日にちも会わない。

『会社の人の送別会なの』

 他の日に……と送りかけて、ここで終わらそうと思った。
『ごめんね、やっぱりこの前の事はなかったことにして欲しい』

 既読はすぐについたけど返事はなかった。これでいいと思う。


 ――ところが、翌々日。

 1本早い電車に乗り込んで、完全に油断していた私は彼に声をかけられて驚いた。
「おはよ。やっぱ会った方が早いよね』
 そう言って笑う。やっぱりとても綺麗な顔をしていて、艶のある肌が若さを伝えている。若い。明らかに若いじゃないの。

「おはようございます。あの、メッセージで伝えた通り」
「好きって言った。俺のこと。何でなかったことにするのか聞きたくて」

 ぐっと言葉に詰まった。だけど、正直に言うしかない。ごく、と喉が鳴った。
 「俺が学生だから、だろ? 」
 先に彼が口を開く。わかってるじゃないの。私はこくり頷いた。

「まあ、そだわな。学生だと思わなかったってことだろうけど、それならあと1年も経たずに解決するけど? 俺、春から新社会人ってやつ」
 にっこり笑って自分を指さす。

「違う、そうじゃないの。私がもっと年上だからさすがにあなたが無理だろうなって思って」
 さすがに私の年を言うと引くだろう、そう思っていた。
「ああ。いくつ? 」
「……32」
「今年32? 」
「え、うん」
「11歳差ってことかぁ」
「そうなるのかな」

 彼はなんてことないようにこう言った。

「俺は気にしないけど? 」