まだ青い彼

 ――翌朝。

 昨日は疲れ果てて寝てしまった。

 気持ちが沈んでいないのが幸いだ。いや、むしろ……。
 まずは昨日そのままにした散らかった服や小物を片づける。その後はいつも通り休日に済ませる掃除や洗濯を終え、一息つく。頂いた引き出物、セレクトギフトに目を通しながら考える。
 私が結婚する時は――。ハッと自分の思考に口角が上がった。

 そうだ、私――結婚したい。すごく。

 それを認めると心がぐんっと軽くなった。今更かもしれないけど、でも……人生で今が一番若いんだからとにかく後であの時もっと動いておけば、なんて後悔しないためにも結婚するために頑張らなきゃ。

 過去、私は眞鍋くんとも両想いだったし、無理だと気持ちをセーブしてた無理目の橘さんだってイケた。三宅くんだって私をそういう目で見てくれた。――私が好意を伝えていれば、そう思わないわけじゃない。だけど、もう済んだことだ。

 今からはもし少しでもいいなぁと思う人ができたら絶対に自分から好意を伝える。絶対にそうする。

 私は固く決心した。

 それから……決心を胸に、淡い期待と向き合った。昨日のあの人、次会ったら声をかけてみようかな。昨日のお礼を言って、そしたら挨拶し合うくらいの仲にはなれるかもしれない。

 私に足りなかったのは、気があることを態度に出すことと好意を伝える勇気。もう二度と知らずにチャンスを逃し、後から知るようなことにはなって欲しくない。
 私の胸には昨日からずっとチラチラと彼の顔が浮んでいた。月曜日、同じ電車に乗れるといいなぁ。

 
 ギフトは早速ペアのグラスを見つけて、頼むことにした。一緒に使える人が出来るといいなぁ。そう期待を込めて。

 ――この日の妙な決心が、私の人生を変えたんだと後になって気づくことになった。