見とれてしまっていて、ハッとする。
慌てて背中にお礼を言った。
「ありがとうございました! 」
彼は背中を向けたまま手を振った。
エコバッグの中を確認するけど何一つなくなっていなかったし、触った形跡もなかった。ただ、誰かが取りに戻ってくるのを待ってたってこと……?
靴ずれはまだ痛い。けど、気にならないくらいには愉快な出来事だった。――日本って平和だなぁ。
それにしても、綺麗な男の人だった。どこかで見たことがある。あんなかっこよかったら一度見たら忘れるはずないんだけど。最近会った仕事の人とか、友人関係、訪れた店の店員さんに至るまで辿るように思い出してみたけど、彼が出て来ることはなかった。
電車で揺られながら、一瞬見ただけの彼を記憶の中で探していた。
どこだっけ、誰だっけ。誰かに似てるだけかな、芸能人とか。
電車がガタンと揺れて横のつり革が頭にコツンと当たった。っ、痛い。痛いし恥ずかしくて誰にも見られていなかったかと車内を見回す。その瞬間、ふっと記憶が戻りさっきの彼の笑顔と重なった。
あの人だ!
朝の通勤電車、時々会う素敵な人。あの人に会えたら今日はラッキーだなって思ってた。あの人だ!どうしてすぐに気が付かなかったんだろう。
思ったより、声も良かったし、しっかりして、優しいし、ちょっと意地悪だった。総じて好印象だ。あの人と話す日が来るなんて、なんだか不思議。
――家に着くと玄関でパンプスを脱いだ瞬間足の痛みを思い出した。思ったよりひどい。
消毒……いっか。先にお風呂に入っちゃおう。
今日は本当にいろんなことがあった。なんて日だろう。
だけど思ってもみない縁に最後に少しだけクスリと笑えた。
ほんと、今日は――なんて日だろう……。
慌てて背中にお礼を言った。
「ありがとうございました! 」
彼は背中を向けたまま手を振った。
エコバッグの中を確認するけど何一つなくなっていなかったし、触った形跡もなかった。ただ、誰かが取りに戻ってくるのを待ってたってこと……?
靴ずれはまだ痛い。けど、気にならないくらいには愉快な出来事だった。――日本って平和だなぁ。
それにしても、綺麗な男の人だった。どこかで見たことがある。あんなかっこよかったら一度見たら忘れるはずないんだけど。最近会った仕事の人とか、友人関係、訪れた店の店員さんに至るまで辿るように思い出してみたけど、彼が出て来ることはなかった。
電車で揺られながら、一瞬見ただけの彼を記憶の中で探していた。
どこだっけ、誰だっけ。誰かに似てるだけかな、芸能人とか。
電車がガタンと揺れて横のつり革が頭にコツンと当たった。っ、痛い。痛いし恥ずかしくて誰にも見られていなかったかと車内を見回す。その瞬間、ふっと記憶が戻りさっきの彼の笑顔と重なった。
あの人だ!
朝の通勤電車、時々会う素敵な人。あの人に会えたら今日はラッキーだなって思ってた。あの人だ!どうしてすぐに気が付かなかったんだろう。
思ったより、声も良かったし、しっかりして、優しいし、ちょっと意地悪だった。総じて好印象だ。あの人と話す日が来るなんて、なんだか不思議。
――家に着くと玄関でパンプスを脱いだ瞬間足の痛みを思い出した。思ったよりひどい。
消毒……いっか。先にお風呂に入っちゃおう。
今日は本当にいろんなことがあった。なんて日だろう。
だけど思ってもみない縁に最後に少しだけクスリと笑えた。
ほんと、今日は――なんて日だろう……。



