愛してるって裏切った、君の嘘。

眩しい笑顔の君を、私はかげでずうっと見つめていたよ。

いつかこの恋が実って欲しい、でも実る夢は叶わないとうっすら思いながら。

それでも。

隣に居させて欲しいって、心のどこかで呟いてる。

君には聞こえないようにね。

ね、弱虫でしょ。


           ❤︎


リンリンリンリン


スマートフォンの、朝を告げる無機質な声が私の耳をつんざく。


ああ、また来てしまった。


私の、一番嫌いな日が。


そう、今日は。



バレンタインデー。


恋する女の子が甘ーい甘ーい黄色い声で、好きな男の子に猫を被ってチョコレートを手渡す……、そんな行事。

この皮肉っぽい言い方からして、私がバレンタインデーを最悪の日とののしっているのはみんなも分かってると思う。


なんでかって?


こんな好きな人に想いを伝えられない私が言うのもアレだけど、ね。

バレンタインデーなんかでどさくさに紛れてちょちょいとチョコレートを渡すだなんて、死んでも私はやらないもの。

それに、学校にお菓子を持ってくること自体校則に違反している。


ぶつぶつ独り言を言いながら、重い体を起こす。

今日はどうしても朝ごはんを食べる気分になれなくて、

「行ってきます」

と急いで、私以外誰も居ないリビングに言った。


家から30分くらい自転車で走ったところが、学校。

いわゆる「進学校」「お金持ち校」っていうのかな、まあそんな学校。名前は、栄儛学園。


「あー、弓月。やっほー」

元気に話しかけてくれた希和に、私は少々疲れ気味に返事を返した。

「おはよう」

希和は顔に考えている事が出やすい。

あ、今、『弓月、まだ朝なのに疲れてるぅ。どうしたんだろぉ』って絶対考えてた。

「え、えーと。そーいえばさ!!昨日の深夜ゲーム実況、『TORINITELI』が、あたしのイチ押しゲーム、実況してくれたんだよね〜。あみちゃんが、ゲームめちゃ上手いの!数分でステージ1クリアできたの!!ステージ1って、1ってつくわりには難しくてさ〜、なのに数分で、それクリアだよ?!神様レベル!!ほんと!!えむちゃんの冷静さは鳥肌立ったし、らるちゃんの可愛さがやばかった!3人とも、それぞれの長所が無限点なんだよ、ほんとに!!今回のゲストのアイドルレンヤくん、盛り上げ力高すぎて好きになったわぁ。はあ〜。いつか私もゲスト入りしたいよぉ」

お、お……。

いつもな穏やかな希和だが、恋愛とゲームを前にしたら、もう止められない。大暴走。

まあ、でも、希和の元気な姿が見られて良かったな。

電話のとき、私が希和を怒らせちゃったみたいだけれど……、

何に怒ったのか、イマイチ分からない。

私が悪いっていうのはじゅうぶん理解できるよ。

でも、何に怒ったのかが分からないから、謝りようがないっ……!

今はゲームの話をしてるし、勝手に横入りして水を差すのも良くない。


結局、学校の授業が全て終了したら話そうと心の中で決めた。