「碧くん!」
ブンブンと手を大きく振った。ワンコの尻尾みたいで、自分でも笑えてくる。
気づいた碧くんは、手を振り返してくれた。それに応援団の振り付けをしているのが分かった。格好いい。
遠くても、ずっと見ていられる。
「宇佐野さん、白色が垂れてる」
「あ、ごめん」
「仕方ないなぁ。ここの色、乾いたら僕が上から修正するよ」
「お願いします」
碧くんに見とれていたら大失敗だ。佐藤さんがいるから何とかなりそう。
「宇佐野さん、顔のペンキ、やっぱり落ちないね」
また佐藤さんがハンカチで拭いてくれた。小さな子供のようで恥ずかしい。
「いいよ。佐藤さん、気にしないよ」
「でも宇佐野さんの可愛い顔が」
「大丈夫だよ。アハハ」
可愛いなんて言われると照れる。体が小柄だから言っているんだろう。
碧くんが見ているのに気づいた。また手を振るけど、碧くんは振り返してくれない。あ、見えてないのかな。顔があっち向いた。見えてないんだ。がっかり。
私は応援看板の色塗りを続けた。
大きな看板は20人がかりで描いた。他28人はペンキなどの準備や絵の周りの装飾品の制作をしていた。
放課後に作るので何日もかかる。体育祭はもうすぐだけど、できる気しない。
根を詰めると効率が悪くなるから、皆が順番に休憩を取ることにしている。休憩に私は、凛の様子を見に行った。
今日は体育館を借りられたそうだ。5月でも動くと暑いらしい。激しいダンスだから体力も消耗するだろう。
体育館の片隅で見ていたら、水分補給の時間みたいだ。
私の所まで凛が駆け寄ってきた。
「アリス、看板できた?」
「もうすぐだと思うけど、まだまだかなぁ」
「そっちも大変だね」
「うん、絵を描くのが苦手だから」
「だから、ダンスしようって誘ったのに」
「だってダンスは、もっと苦手」
「もうアリスらしい」
「運動音痴だから仕方ないよ」
「じゃぁ、安藤先輩と応援団したらよかったのに」
「えー、あんな花形、私には似合わないよ。小さいし格好悪い」
「アリスは劣等感の塊だね」
「もう言わないで、凛に言われると落ち込む」
「ごめん。自信持ってよ。アリスは、やればできる子だよ」
「それはお母さんが言う言葉だよ」
凛は私の言葉を聞いて笑った。
「だって、アリス見てたら放っておけない。母性本能が勝手に放出する」
「なにそれ?凛、可笑しい」
「女性であるからこそ母性本能、だだ漏れになる。だってアリス、うちのトイプードルのきなこに似てるんだもん」
「ちょっと違うような」
「違わない。きなこに似てる」
「やめて、犬扱い」
「アハハハ」
凛の愛犬のきなこは、人懐っこいし、ちっちゃくて可愛い。とは言っても、犬は犬だ。
でもいいか、あんなに可愛く見えるのなら。
暫く凛のダンスを見学して、また応援看板の制作に戻ろうと思って体育館を出た。すると碧くんの声が後ろから聞こえた。
「アリス」
振り向くと碧くんがいた。自然と笑顔が零れる。
ブンブンと手を大きく振った。ワンコの尻尾みたいで、自分でも笑えてくる。
気づいた碧くんは、手を振り返してくれた。それに応援団の振り付けをしているのが分かった。格好いい。
遠くても、ずっと見ていられる。
「宇佐野さん、白色が垂れてる」
「あ、ごめん」
「仕方ないなぁ。ここの色、乾いたら僕が上から修正するよ」
「お願いします」
碧くんに見とれていたら大失敗だ。佐藤さんがいるから何とかなりそう。
「宇佐野さん、顔のペンキ、やっぱり落ちないね」
また佐藤さんがハンカチで拭いてくれた。小さな子供のようで恥ずかしい。
「いいよ。佐藤さん、気にしないよ」
「でも宇佐野さんの可愛い顔が」
「大丈夫だよ。アハハ」
可愛いなんて言われると照れる。体が小柄だから言っているんだろう。
碧くんが見ているのに気づいた。また手を振るけど、碧くんは振り返してくれない。あ、見えてないのかな。顔があっち向いた。見えてないんだ。がっかり。
私は応援看板の色塗りを続けた。
大きな看板は20人がかりで描いた。他28人はペンキなどの準備や絵の周りの装飾品の制作をしていた。
放課後に作るので何日もかかる。体育祭はもうすぐだけど、できる気しない。
根を詰めると効率が悪くなるから、皆が順番に休憩を取ることにしている。休憩に私は、凛の様子を見に行った。
今日は体育館を借りられたそうだ。5月でも動くと暑いらしい。激しいダンスだから体力も消耗するだろう。
体育館の片隅で見ていたら、水分補給の時間みたいだ。
私の所まで凛が駆け寄ってきた。
「アリス、看板できた?」
「もうすぐだと思うけど、まだまだかなぁ」
「そっちも大変だね」
「うん、絵を描くのが苦手だから」
「だから、ダンスしようって誘ったのに」
「だってダンスは、もっと苦手」
「もうアリスらしい」
「運動音痴だから仕方ないよ」
「じゃぁ、安藤先輩と応援団したらよかったのに」
「えー、あんな花形、私には似合わないよ。小さいし格好悪い」
「アリスは劣等感の塊だね」
「もう言わないで、凛に言われると落ち込む」
「ごめん。自信持ってよ。アリスは、やればできる子だよ」
「それはお母さんが言う言葉だよ」
凛は私の言葉を聞いて笑った。
「だって、アリス見てたら放っておけない。母性本能が勝手に放出する」
「なにそれ?凛、可笑しい」
「女性であるからこそ母性本能、だだ漏れになる。だってアリス、うちのトイプードルのきなこに似てるんだもん」
「ちょっと違うような」
「違わない。きなこに似てる」
「やめて、犬扱い」
「アハハハ」
凛の愛犬のきなこは、人懐っこいし、ちっちゃくて可愛い。とは言っても、犬は犬だ。
でもいいか、あんなに可愛く見えるのなら。
暫く凛のダンスを見学して、また応援看板の制作に戻ろうと思って体育館を出た。すると碧くんの声が後ろから聞こえた。
「アリス」
振り向くと碧くんがいた。自然と笑顔が零れる。



