碧くんの好きが溢れてる② 〜あなたの好きで溺れそうなんですけど〜

 

 高校生活の始めの大きな行事は、6月の第1週目の金曜日に体育祭がある。
赤、白、黄、青、緑色の5色に1〜3年生が混合で分かれて、組対抗戦をする。

私と凛は青組で2年生の碧くんと一緒になった。嬉しい!

碧くんは青組応援団長らしい。私は大きな応援看板を作る。凛はパフォーマンスのダンスチーム。3人は別々に放課後、体育祭の催しの練習や準備をする。その他の競技は体育の時間に練習する。

だから碧くんとは、なかなか一緒に帰れないし会えない。寂しいけど、碧くんの応援団の学蘭姿が楽しみだ。それを妄想しながら寂しさを紛らわせた。

応援看板を作るのが簡単だから3つのうち、これを選んだのに絵心がない。ポスターカラーやマジック、ペンキなど使って頑張ったけど、顔まで汚して上手く描けない。

美術部のクラスメートの佐藤敬(さとう けい)さんが私の分まで活躍した。

「さすが。佐藤さんは美術部だから絵が上手いね」
「絵を描くことが好きだからね」
「そうだよね。そうじゃないと美術部、入んないよね」
「まぁ、そうだね。宇佐野さん、ここ白色で塗りつぶして」
「了解」

真面目に色塗りをした。色を塗るだけなのに難しい。斑になるから、何度も上から塗りたくる。時間がかかるわ。

佐藤さんを見ると、ひと塗りで完璧だ。感心していると佐藤さんが気づく。

「塗り慣れないと難しいよね」
「佐藤さん、すごい!きれいにできてるよ」
「そうかなぁ。宇佐野さんは一生懸命だから、それが絵に出ている。それはすごいことだよ」
「ありがとう。そう言ってくれると頑張れそう」
「うん、頑張って。あ、顔まで色塗りしてる」

佐藤さんがハンカチで拭いてくれた。でもなかなか取れない。まぁいいか。

ふと木が植え込まれている通りを見ると、その木陰に碧くんがいた。久々の碧くんに嬉しくなって声をかけた。