「うーん……バグでも起こしたのかなぁ」
スペードが消えた後、スペードの荷物らしきものを回収したダイヤは、ハートとクラブと合流し、メカニックのメグのいる部屋を訪れていた。
メグの部屋は、試作品の特殊機器や工具、設定図などで散らかっている。
メグは転送装置を色んな角度から眺め、呟いた。
「……バグ?」
「転送装置は、特に壊れてはなさそうだ。それに、さっき使用した形跡があるし、設定も月都になっている。でも、スペードは月都には帰ってきていない。ということは、転送装置がバグを起こして、スペードをどこかに飛ばした……としか思えない」
「ふざけたこと言わないで。スペードは、どこ行ったの?」
そう言うメグに、ハートは感情のままに話し出す。それを、クラブは宥めた。ハートは「葵ちゃん……」と日本語で小さく呟くと泣き出す。
(……ハートの気持ちは、分かる。突然、学生時代からの友だちのスペードが消えて、どこにいるかも分からない。辛い、よね)
月人で月語しか話せないクラブには、さっきのハートの呟きの意味は分からない。しかし、ハートの気持ちは、痛いほど分かった。
「……ボクも、最善は尽くす。一旦、スペードの転送装置は預かるね」
メグの言葉にクラブは「頼むよ」と頷き、スペードが無事であることをただ願った。



