電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

「自分のかわいさに自覚がないところ。⋯⋯でもこれは心配でもあるんだよね〜」

「全部自分のせいだと思いこんじゃうところ。これも心配ではあるわ」

「歌がうまいところ〜」

「その歌のうまさは才能じゃなくて、千星の努力の塊よ。⋯⋯っていうことで、努力を怠らないところ」

「自分よりも周りの人を優先しちゃうところ」

「たまにドジをしちゃうところ」

「あっ、そういえば千星ちゃんのドジで出会ったんだよね〜! 懐かし〜」

「何よそれ⋯⋯あたしにちゃんと聞かせなさいよ!」

「いやだよ〜」



そのまま論争は続き⋯⋯三十分が経とうとしていた。

ふっ⋯⋯なんだ。ちゃんと、千星のいいところ理解しているじゃないの。



「おはよう⋯⋯あれ、紡くんと⋯⋯玲香?」



そのとき、ちょうど千星が登校してきたようで、教室に顔をのぞかせた。



「千星⋯⋯! おはよっ」

「ふふっ⋯⋯おはよう、玲香。⋯⋯ところで、二人で何を話していたの⋯⋯?」

「「内緒」」

「えぇっ⋯⋯なんでぇ⋯⋯?」



こんなに恥ずかしい会話、千星に聞かせられるわけないじゃない⋯⋯。

千星には内緒にしておくのよ、朝霧。

そう目線で伝えて、今日の論争に終止符を打った。

【終わり】