電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

優しい千星のことだし、きっと引かれちゃうとか考えているのでしょうね⋯⋯。

そんな気遣い上手なところも、優しいところも⋯⋯昔からずっと変わらない。



「あたしが勝手に話していいことじゃないし、言わないから」

「ふーん⋯⋯言っとくけど、僕のほうが椎名さんよりも千星ちゃんのこと知ってるからね〜」



その言葉に、ぴくっと体が反応したような気がした。



「⋯⋯なんですって?」

「だって〜、最近の千星ちゃんが一番過ごしている時間が長い人は誰? ⋯⋯圧倒的に僕じゃない?」



煽るような口調で言われて、あたしの怒りは最高潮に達した。

中学から千星のことを知ったやつが、そんな簡単に千星のことを語るんじゃないわよ⋯⋯っ!



「うるさいわね! あたしは幼稚園の頃から千星と一緒にいるんだから!」

「椎名さんはただの”幼馴染み”、だもんねぇ〜? 僕は恋人だから」



こいつ⋯⋯わざと幼馴染みって言葉を強調したわね⋯⋯?



「ん〜⋯⋯じゃあさ、今千星ちゃんいないし、お互い千星ちゃんの好きなとこ言い合おうよ。それで、いっぱい言えたほうが千星ちゃんに一番近しい人ってことで〜」

「いいわね。その勝負、乗ったわ」



あたしのほうが多く出してみせるんだから⋯⋯!

そんな朝霧の言葉によって、千星の好きなところを言い合う大会が、千星本人がいないところで始まった。



「じゃあ、まずは僕から。優しいところ〜」

「人を思いやれるところ」