電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

家の前で待っていると、見知った男の子が近づいてくるのがわかった。

恋人の姿を間違えるはずがない。あれは⋯⋯紡くんだ。



「千星ちゃん、おはよう〜!」

「紡くん、おはようっ」

「一緒に行こ〜」

「うんっ⋯⋯!」



紡くんの言葉に頷いて、私たちは学校へ向かって歩き始めた。



「そういえば、あの噂って大丈夫なのかな⋯⋯」



噂のことが心配になってしまって、思わず口からこぼれてしまった。

昨日は気にすることなく歌っちゃったけど、今日はいろんな人が学校にやってくるし、当然クラスメイトと関わる機会だって増えてしまう。

噂のことでヒソヒソと言われちゃったら嫌だな⋯⋯。



「大丈夫だよ〜! 話題には、もっと刺激的な話題で上書きしなくちゃね〜!」

「刺激的な、話題⋯⋯?」



そんな、みんなが夢中になるような話題なんてあるのかな⋯⋯?



「ふふ〜。⋯⋯俺と千星ちゃんが付き合ったことだよ」

「っ!?」



紡くんは私の耳元でそう囁くと、いたずらが成功した子どもみたいにニカッと笑った。

いっ、今、耳の近く、で⋯⋯っ!!