電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

こういうちょっとした論争はありながらも、結局大きなケンカはすることないんだろうなあ。

みんなと喋っていると、そんな暖かい空気がこちらにまで伝わってくる。



「⋯⋯千星」



今までずっと黙っていた伶衣くんが口を開いた。



「俺は⋯⋯千星の音楽に救われたんだ。千星のおかげで、前に進むことができた」

「えっ⋯⋯」



衝撃の告白に、思わず声が漏れてしまった。



「だから、今度は俺に⋯⋯いや、俺たちに千星を照らさせてくれ」



アポロンのみんなが太陽だとするのなら、私はきっと月なのだろう。

みんなのおかげで⋯⋯誰かのおかげで輝ける、そんな人間。

救われるって⋯⋯きっと、こういう気持ちなんだろうな。

さっきまで悩んでいた心のモヤが全部すーっと晴れていったような感覚に包まれる。



「⋯⋯私、学園祭、行く」



私も⋯⋯照らされるばかりじゃなくて、自分から輝きにいきたい。

ずっとみんなに照らされていたら、きっと一歩も踏み出すことができない。私自身が成長することは難しいと思う。