電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

軽食を取るためにキッチンへ行って、何か軽く食べられそうなものを探す。



「こっちに何かあったはず、なんだけどなあ⋯⋯⋯⋯あ、あった」



冷蔵庫の奥の方に隠れていたゼリーを取り出して、私は目を見開いてしまった。

なぜなら、そこには⋯⋯



『千星へ。今学校で騒がれていることは、俺も知っている。お兄ちゃんがなんとかしてやるから、千星は我慢せずに休め! これはお兄ちゃんからのプレゼントだ。 流星』



お兄ちゃんの文字で書かれたメモが置いてあったから。

おにい、ちゃん⋯⋯。

なんで⋯⋯こんなにも迷惑をかけちゃっているのに、お兄ちゃんたちは優しく接してくれるの⋯⋯?

そのことが、不思議でたまらなかった。

不思議に思いながらゼリーを一口、口へ運ぶと、口の中に甘くて⋯⋯でも爽やかなりんごの味が広がった。

私の喉のことを、気遣ってくれたのかな⋯⋯?

りんごは酸味が強すぎなくて、喉への刺激が少ないから、もしかしたらそれで選んでくれたのかもしれない。