電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

そうやって逃げている自分が、ずっと嫌いだった。

ねいろとしての活動を始めて、アポロンのみんなと関わり始めて。

やっと、自分は変わり始められてる⋯⋯そう思っていたのに。

そんなのは、私がずっと抱いている幻想にすぎなかったのかもしれない。

☆     ☆     ☆

私は⋯⋯いつになったら、”本当の自分の想い”を、たくさんの人に伝えることができるんだろう。

言葉で伝えることは怖い。また何かを言われてしまうかもしれない。

そして、歌で伝えるという手段を失ってしまった今、私に残っているものは、何もない。

歌だけは味方だと思っていた。音楽でなら、私の想いをまだ伝えられるって。

でも⋯⋯今や、その歌に恐怖心を抱いてしまっている。



「私って、こんなに弱かったんだなあ⋯⋯」



静かな部屋の中にそんな独り言が響いた。

⋯⋯昔のことを思い出したから、ちょっと暗い気持ちになっちゃった。

少し、何か食べようかな⋯⋯。

最近、まともに食事も取れていなかったような気がする。