電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

次に言葉を発したのは、当時一番と言っていいほどの友だちだった。

いつも仲良くしてくれる優しい女の子。

言葉遣いも丁寧だったから、そんな彼女からあまりにもひどい言葉が発されているということを理解するのに時間がかかってしまった。



『わかる〜! いい子ちゃんぶってるよね』

『いつも話しかけてくるけど、それもぶっちゃけうざい。なんか自分の中に想いがあるのかなんだか知らないけど、こっちは音羽さんに構ってる暇なんてないんだよねー』



いい子ちゃん。うざい。優等生。構ってる暇なんか、無い⋯⋯。

次々に心無い言葉が、私の中にグサグサと音を立てて刺さったような気がした。

⋯⋯どう、しよう。足がすくんで⋯⋯動けない⋯⋯。

その後の記憶はおぼろげだ。

たぶん、そのまま走ってその場から逃げてしまったんだと思う。

⋯⋯この間みたいに。

それから人からの視線や声、言葉に敏感になってしまって、他の人と話すことが難しくなってしまった。

⋯⋯そして、自分の想いを言葉で表現することも。

授業で自分の思ったことを書くような問題のときも、自分の考えていることよりも、どうすれば他の人に否定されないかを最優先に考えてしまう。