「誰かがパンくずを落としているの」
そういわれて床を見ると、僕の机の周りにだけ確かにパンくずが落ちている。
学校では毎日放課後のホームルームの前に掃除をしているから、こんなところにパンくずが落ちているはずはないのに。
だけど僕には覚えがあった。
あの幽霊が食べたカスだ!
「おかしいね。でも僕が掃除しておくから大丈夫だよ」
僕は早口にそう言うと大急ぎで掃除道具を持って戻ってきた。
「ケンタくんが汚したわけじゃないのに」
「だけど僕の机の周りが汚れているんだから、やっぱり僕が掃除をするよ。だからみんなは気にしないで」
自分がパンを食べ残したことがバレるのではないかと冷や冷やしながら片づけをすると、終わるころにはもう誰も近くにはいなかった。
ただのイタズラだと思ってくれたみたいだ。
ミユちゃんだけは最後まで「次にこんなことがあったら、先生に言おうね」と言ってくれていたから、僕は曖昧に頷いておいた。



