教室の中にはもう誰の姿もなかった。
誰にもバレずにパンを回収できることにホッとして自分の席へ近づいていく。
と、そのときだった。
さっきまで誰もいないと思っていた教室に、それも僕の机の前に誰かがいる。
ケンタよりも一回り小さな男の子だ。
深緑色の帽子と服を身に着けて肩掛けタイプの布製カバンを持っている。
見たことのない格好だ。
男の子は僕の机からパンを取り出すと、それにかぶりついたのだ。
あ!!
と思ったけれど声を上げることはできなかった。
だって、男の子の体は半分透き通っていて、奥にあるミユちゃんの席が見えていたから。
「で、出た!!」
僕はようやくそれだけ叫ぶと大急ぎで教室から逃げ出したのだった。



