タブレットは音が出ないように常にミュートにしてある。
間違えて指が触れて、音が出てしまったんだろうか?
そう思って音声を確認してみたけれど、ミュートのまま変わっていなかった。
じゃあ、今の声はなに?
ゾッとして教室内を見回してみるけれど、僕の他には誰もいない。
みんなもう帰ってしまっている。
《ここだよ、ここ》
もう一度聞こえてきた声に短く悲鳴を上げてタブレット画面を見つめる。
そこには勉強をサポートしてくれる男の子が出てきていた。
男の子の後方にはさっきまでやっていた格闘ゲームの画面がそのままになっている。
「お前、話せたのか?」
思わず声をかけると、男の子がおかしそうに笑い声を上げた。
《今日は特別にね》
その声は作られた機械音声とは思えないほどスムーズで、人間らしい声だった。
僕は驚いて居残りくんと名乗った男の子を見つめる。
「すげぇ、こんな機能があったんだ」



