今年の夏は受験勉強に集中することにした。
夏休みに突入して、私は息抜きに唯とカフェにきていた
「あかり、本当に花火大会行かないの?」
「うん。今年は勉強頑張りたいの
それに、先生と約束したから。」
「そっか〜無理はしないでね!
でもちょっと残念。今年こそすばるといけるのかなって思ってたんだよね〜」
「先生は……誘ったとしても来れないと思う……」
「まぁ、確かに、うちの生徒うじゃうじゃいるか〜」
残念そうにため息をつく唯
「ほらでも、唯は冬馬くんと楽しんできてね!」
「うん、ありがと、あかり!
てか、ずっと家で勉強してるの?」
「うん、でも最近集中できないから
学校の図書室にでも行こうかなーって思ってる。」
「それに、すばるいるかもだしね〜!」
「……ばれた?」
「ふふっ、私達何年一緒にいると思ってるの!
でもよかった。あかり前より楽しそう」
「唯のおかげだよぉ〜」
1年の時は辛いことがたくさんあって
好きになっちゃいけないって自分に言い聞かせてた
でも……あの時勇気を出したから
私少しは大人になれてるのかな
花火大会当日。
今日は図書室に向かう
……先生今日学校にいるかな
「あれ、藤花?」
「瀬戸くん!久しぶりだね、勉強?」
「うん、家じゃ集中出来なさすぎて最近ここでやってる!」
「えー私も同じ理由で来てみた!」
「お、まじか!よかったら、一緒に勉強しない?
藤花成績いいだろ、教えてほしい!」
「いいよ!じゃあジュース奢りね〜」
「よっしゃあ、後で買いにいくわ!」
一番窓際の席で参考書を広げながら横並びで座る。
常にシャーペンを動かす瀬戸くんの手が止まる
「どしたの、どっかわかんないとこあった?」
「藤花ってさ、彼氏いる?」
「……いないけど、急にどうしたの!?」
「まじ!よかったー」
椅子の背もたれに寄っ掛かる瀬戸くん
「いや、実は前から藤花のこと可愛いなって思ってて」
「え、えぇ!?!?」
「そんな驚くなよ〜!
でも、相模と付き合ってんの知ってたから
俺の入る隙間はないなって思ってた」
「いや驚くでしょ!全く気づかなかった……」
「そしたらまさか同じクラスになって隣の席とか
もう運命だって思った!!」
「お、大げさだよ〜」
今まで瀬戸くんのこと意識したこともなかった
ものすごい笑顔ではにかんでる瀬戸くん
ドーーーーーーーーン!!!
気がつくと外はもう暗くなっていた
窓際の席からよく見える花火
「うわぁー!めっちゃ綺麗じゃん!なぁ藤花!」
「うん!ここから見えるなんて、知らなかったよ」
花火の音で、校舎の外に何人かの先生が出てきた
一人の先生と目が合った。
私のだいすきな人。
「藤花、俺と付き合わない?」
「………」
え????????
「ん?ごめん今なんて」
「俺たち付き合わない?」
俺こう見えてかなり一途!」
瀬戸くんの顔を見ながら
窓際に映る先生の姿を気にする
……先生、今、こっち見てた?
「ごめん。私好きな人がいるの。」
「それって誰?相模?」
「ううん、違う。
けど、言えないかな。」
少しの間黙り込む瀬戸くん。
「そっかー。
まぁ、振られるのわかってたし、俺は諦めないけどな!」
「あ、あははは」
なんて言えばいいのかもわからなくて
頭の中は先生でいっぱいになった
ーーーーーーー職員室ーーーーーー
「神田先生、外出てみます?」
「あぁ、ちょっと気晴らしに見るかー」
今年は進路の書類作りやらなんやらで
花火大会の見回りは二学年の先生達の仕事
辺りはすっかり暗くなっていて
花火の音につられて校庭の方に出る
「3年の担任ってやること多すぎますよね」
「まぁ、そうだなー」
早見先生と休憩している時
図書室の窓から見える生徒
………藤花?
「あれは藤花さんと、瀬戸くんですね」
「………」
やけに俺の顔を覗き込む早見先生
「嫉妬ですか」
「……違うわ!
ちゃんと勉強してて、偉いなって思っただけだよ」
「どう見てもあれは勉強してるように見えないですけど」
そんなのあいつの顔を見ればわかる
藤花、お前、どんだけモテるんだよ。
勉強なら俺のところに来ればいいのに。
……っていかんいかん
「おーい、神田先生」
「……お、おう」
「心配ですか、藤花さん」
「いや……別に」
もう一度、図書室を見る。
困った顔をしながらも
楽しそうに瀬戸と話す藤花
……なんだよ。
「神田先生?」
「なんだ」
「今絶対何か考えてましたよね」
「……今日は疲れたから帰る」
そう言ってもう一度図書室をみる。
「……藤花」
俺の呟きは花火の音でかき消された

