先生と、時々涙雲


彼氏ができて初めての文化祭


私のクラスはたこ焼き屋をやることになった




「藤花!たこ焼きもらってきた!」


「わーいやったー相模くん、ありがと!」


「私はお邪魔みたいだから、あかり、楽しんでねー!」


「えへへーありがと唯〜」



「ほら、あーん」


「えぇ!?いいよ、自分で食べ……おいひぃ」


「本当藤花って美味そうに食うよな」


「それって褒めてるの!?」


「うん、食べてるところも可愛い」


可愛いって言ってくれると

先生が頭に浮かんでしまう






「あのさ…そろそろあかりって呼んでもいいか」


「うん、もちろん!でもなんか変な感じ」


「あかりも、俺のこと名前で呼んでほしい」


「しょ、翔くん!うわぁ、本当に彼氏っぽい」


「本当の彼氏だろー」


「えへへー」


「そろそろ交代だから戻るかー」


「そうだね」


相模くんは私の手を繋いだまま歩き出す


学校で手なんて繋いだことなかったから


ちょっと恥ずかしいけど。





「あ、来た来た。藤花さんと相模くん、交代の時間かな」


「早見先生の分、私作ります!」


「嬉しいなぁ。じゃあ2人分作ってもらおうかなぁ」


「2人?誰かと食べるんですか?」


「神田先生の分だよ」


先生の名前が出てくると思わなくて

思わずドキッとしてしまった



「そう、なんですね」


「一応、先輩だからね」


「た、たしかに!!」


「藤花さんが作ったって言ったら喜ぶと思うよ」


「……そんなことないです」


ガシャン!!!!!!

「うわぁ、やちゃった…」


「藤花さん大丈夫?袖洗いにいこっか」


「…はい」



早見先生と水道で袖を洗う。

「とりあえず落ちたから大丈夫です!」


「よかった。ごめんね藤花さん」


「何で早見先生が謝るんですか?」


「神田先生の話したから」


「え!?全然関係ないですよ、先生は……」


「藤花さんほど分かりやすい子いないよ」


早見先生はいつものゆるふわスマイルで微笑んでる


「そ、そんな分かりますかね」


「神田先生もね」


「……先生何か言ってたんですか」


「それはね、藤花さんが自分で聞くべきかな」


「もう私から聞くことも話すこともないです。
先生にとって私は迷惑だから……」


「もうってことは、前に何か伝えたの?」


「それは……」

「ふふっ。
とりあえず、たこ焼き渡しにいこっか」


早見先生は何かを察したのか

それ以上私に何も聞いてこなかった





「神田先生、差し入れです」


「おぉ、ありがとな!
丁度休憩するところだった」


「可愛い生徒の手作りです、ね、藤花さん」


早見先生の後ろに隠れながら

私はひょこっと顔を出す


「ソースこぼしながら頑張って作りました!」



「ははっ、藤花が作ったのかー
嬉しいよ。ありがとうな!」


先生の笑顔、久しぶりにみた


また好きになってしまうのが怖くて


目をそらしてしまった



ーーーーーーーーガラガラ


「ここにいたのか。あかり、教室戻るぞー!俺ら当番だろ」


少し強引に私の手を握る翔くん

先生、私大切にされてるんだよ。


「あ、うん。ごめん翔くん、行こっか」


翔くんは目を細めながら先生を見る


「……またお前かよ」

「先生に対してお前はやめろって言ってるだろー」






ーーーーパタン

「って無視かよ」


「ふふっ」


「……何だよ!」


「あの二人名前で呼び合うようになったの最近ですよ」


「まぁ、付き合ってんなら普通だろ…」


「さっき中庭でたこ焼き、あーんしてたなぁ」


「もう、なんだよさっきから」


「藤花さん、相模くんと楽しそうでしたね」


「……そうだな」


「教師として嬉しくないんですか?」


「もちろん嬉しいに決まってるだろ」


「じゃあ教師じゃなかったら?」

「………」



「神田先生、僕は別に藤花さんと付き合えなんて言ってませんよ。
でも、自分の気持ちくらい認めてもいいじゃないですか」





「……俺はあいつが好きなのか」







「今さらですか」

はぁーっとため息をついた早見先生

「と、とにかくあんま俺をからかうなよ!!」

ふふっと笑う早見先生はそのまま帰って行った