二学期の球技大会
競技内容はまさかのバドミントン。
「藤花さん、お願い!うちのクラス経験者いなくて、代わりに出てもらえないかな?」
「あ…うん。いいよ、私でよければ!」
球技大会は、なるべく経験者と未経験者を混ぜるように言われてる
よりによってB組。先生のクラス。
「藤花さん、よろしくね」
しかも、ダブルスで組む人がまさかの坂田さん。
「ちょっと、あかり!無理して引き受けなくてもいいんだよ?
私、今から断ってこようか?」
「ううん、大丈夫だよ。
経験者いないみたいだし!」
「なんでよりによって坂田さんなのよ!
私あいつ苦手!!」
「ゆ、唯声が大きいぃ!」
本当は私も少し苦手
だって坂田さんは先生のことが好き。
でも、私には相模くんがいるし
関係ないんだよね。
ーーーーーーーピーッ
久しぶりのバドミントン
「あ、藤花さん!」
「任せて!!」
ーーータッタッタッタ
「キャッ!!」
ーーーーーーバタン!!!!!!
「……え?!ご、ごめんなさい、坂田さん、大丈夫……?」
バランスを崩した私は坂田さんにぶつかり、坂田さんは床に倒れてしまった。
「っ痛い……」
えっと、保健室の先生!呼ばなきゃ!!
「坂田!大丈夫か?!」
そこには坂田さんをお姫様抱っこしている
先生の姿
スロー再生されたように
ゆっくりと私の前からいなくなる
「ねぇ、坂田さんとすばる付き合ってるらしいよー」
「めっちゃお似合い!てかさ、藤花さんわざとぶつかったよね?」
「1年のときすばると付き合ってた子?うわぁ、未練たらたらじゃん。最低」
聞こえてるんですけどぉ……
「ちょっとあんたたち!あかりがわざとやるわけないじゃない!!
いい加減にしなさいよ!!!」
「ゆ、唯!大丈夫。
私なら、大丈夫だから…っ」
自然と涙が溢れ出す。
これは何の涙なんだろう
「おっとー、女の子が喧嘩したら可愛い顔が台無しだよ〜
藤花さん落ち着くまで、ちょっと教室行こうか。」
早見先生が教室まで付き添ってくれた
「藤花さん、とりあえず座ろっか」
「……はい」
「怪我は?」
「大丈夫です……」
「そっか。じゃあ、泣いていいよ」
「……え?」
「大丈夫な人は、そんなに頑張って『大丈夫』って言わないからさ」
「私……わざとじゃないのに……」
「うん、見てたから知ってるよ」
「でも……先生が……坂田さんを……」
早見先生は少し黙り込む。
「神田先生?」
「……はい
私、もう相模くんと付き合ってるのに、なんかすごい苦しくて」
「藤花さん、神田先生と坂田さん付き合ってないよ。」
「……え?でも、みんなそう言って……」
「噂は噂、だからね」
ふふっと笑う早見先生
「神田先生、ああ見えて生徒のことで本気で心配するから。
坂田さんが倒れてたら、そりゃ運ぶでしょ?」
「……そう、ですよね。」
全然納得できないよ
何もお姫様抱っこしなくてもいいのに。
「僕は体育館に戻るけど、藤花さん落ち着くまでここで休んでてね」
「はい。ありがとうございました」
そういって早見先生は体育館に戻っていった。
「神田先生、坂田さん大丈夫でした?」
「保健室で休んでる。大した怪我じゃないって」
「そうですか」
「……藤花は?」
「安心してください。教室で休ませてます」
「そうか……」
「神田先生」
「ん?」
「藤花さん、泣いてましたよ」
「………」
「自分がわざとぶつかったって言われたこと、
かなり傷ついてました」
「………そうか」
「それと」
早見先生がちょっとニヤッとする。
「坂田さんを運ぶ神田先生を見て、さらに傷ついてました」
「……お前なぁ」
「僕、なんか変なこと言いました?」
「……言ってないけど」
「あの子が泣いてるのがそんなに気になるなら、教室見てきたらいいじゃないですか」
「………」
「ふふっ、なんだ行くんじゃん」
ーーーーーーーーガラガラッ
「……藤花」
「先生……?」
「さっき、大丈夫だったか?」
「大丈夫です……」
「お前がわざとぶつかるとか、そういうことするやつじゃないって、俺は一番知ってるぞ」
そう言って私の頭をポンポンってしてくれた
「先生、そういうのずるい。」
「……元担任として、藤花のこと放っておけない」
「もう、本当に…なんで……」
先生の事を見ていると
好きって気持ちが溢れていく
「おいおい泣くなよー、藤花は笑った顔が可愛いんだから」
「先生が泣かせたんですよ」
「……そうだな」
先生は少し困った顔で笑う
「だからもう泣くなよ」
「……無理です」
「なんでだ」
「先生が優しくするから……」
「………」
先生の手が私の頭の上で止まる
「俺はお前が思ってるような優しさでしてるわけじゃないからな…」
「……わかってます」
わかってるよ、わかってるのに
もう優しくしないでほしいって
ちゃんと言えない私がいた。

