先生と、時々涙雲




毎年恒例の花火大会。







「お待たせ、ごめん待った〜?」


「おう、1時間は待ったわ〜、藤花奢りな!」


「何言ってんの、も〜!」


相模くんに誘われた。

相模くんの背中について歩く人混みの中



「はぐれないように、手繋いどくぞ。」


「……あ、うん。」


なんだか照れるし、恥ずかしい。





ーーーーーードーーーーーン


「わぁ!はじまったね!すごい綺麗!
そんでもって、唐揚げもおいしい〜」


「すげぇ綺麗だなー!
にしても、おまえ本当よく食うよな」


「ちゃんと、ダイエットもしてるんだから
今日はいいの!!」


相模くんといると気を遣わなくて

前向きでいられる気がした




「藤花」

「ん?」






「あのさ、俺やっぱり、藤花のことが好きだ。」







相模くんはいつも直球に気持ちを伝えてくれる。


でもそれって、苦しいし、楽しいだけじゃないのは痛いほど分かる。


「俺と付き合ってほしい。
すばるのこと、絶対忘れさせてみせるから。」



だからこそ私、決めたよ。






「うん。よろしくお願いしますっ!」


「……え、本当か?!」


「本当だよ!私、もう先生のことは大丈夫だから。
相模くんとなら前に進めると思う。」



そうだよ。私、相模くんとなら幸せになれると思う。


付き合うことになった私たちは


手を繋ぎながら歩き出す




「暗いから、気をつけて帰れよ〜」




聞き覚えのある、懐かしい声


見てみぬふりをする私がいた


先生、私ね彼氏ができたよ。


「すばる、俺たち付き合ったから。
藤花にもう何もすんなよー」


「おい、誤解されること言うな!
……藤花、元気そうでよかったよ。」


「げ、元気に決まってますよー!彼氏もできて、私幸せでーす!」


「っはは。それなら良かったよ。あの後心配で…」


先生と話していると

繋いだ手をグイッと引っ張られた。

「じゃあなーすばる、早見先生も、さよならー」


「おう、気をつけろよー」






・・・・・

「ふふ、神田先生」

「……何だよ!」

「いやぁそういうことかーって。
まぁ僕たち教師だけど、人間ですから、ね?」


何かを察した早見先生はニコッと微笑んだ


「藤花、部活辞めてから少し元気ない気がしたから、ただそれだけだよ」


「そうだったんですか」


「お、おう」


「それにしても相模くん、わざわざ付き合ったこと教えてくれるなんて、何でですかね」


「……さぁな」

「わかってるくせに」

「なんだよ!!」