分からなすぎるよ、火咲くん。

ステンッ、と。

思いっきり転んだ。

「痛ぁ……。また転んだぁ……」

うん、わかってたよ。覚悟してた。

でも恥ずかしいのは消えない。

お分かりだろうか。何もないのに転ぶのは相当なドジであるということを。


「ふはっ……、転び方おもしろー」

そんな可哀想(そんなことない)な私をバカにする声ひとつ。

「んなっ……、なんてこと言うんですか!」


見上げて目に入ったのはイケメン。

「……」

イケメンだった。普通に。

明るすぎない茶髪。整った顔立ち。なぜか色気がある首筋。真面目そう(偏見)

そして入学初日のくせに制服を着こなしている。

「ねえ、なんで何もないとこで転ぶの?」

「いやなぜと言われても……。仕方ないじゃないですか、昔からこうなんですよ」

「そんなことあるっ……?」

なぜかイケメンは爆笑する。