〘 急報 〙最狂暴走族の総長は昼間はお姫様。夜は最狂な女王様。

──◀夜

「凛。
今日もお願いね」

「かしこまりました、お嬢様。」

凛は、私の幼い頃からの専属使用人だ。

唯一気心が知れている使用人さんで、この家で私の秘密を知っている唯一の人。

…面倒事を押し付けちゃったなぁ、とは分かっている。

でも頼れる人がいるだけで、安心できるんだ。

黒髪のヴィッグを外し、隠していたクローゼットの奥の隠し扉からスーツを取ろうとソファを立った瞬間─

トントン

「どちら様ですか?」

「俺だ。拓海だ。」

「お兄様でしたか。
どうぞお入りください」

ガチャ

扉の開閉とともにやって来たのは、私の兄・白河 拓海

非常に優秀で、白河家の次期跡継ぎの第一候補。

完璧で非の打ち所がない…んだけれど、

バタンッ

「天音!
元気だったか?
怪我はしていないか?」

…凄く、過保護だ。

でも全部私の為を思ってくれてる。

それがとても嬉しい。

2人きりの時だけは、お互いに素で話す。

これが幼い頃からの " 癖 "だ。

「私は元気だよ。
お兄様も海外での視察で功績を挙げられたとか…」

「大したことはしていない。
周りの方々の協力あってこそだ。」

「ふふっ
お兄様のそういう所が結果に繋がるんだろうね」

自分の力を過信しない

自分の力は周りの協力あってこそ。

『だからね、天音。
沢山の人に愛される人というのは─′』

「…ね、天音。
大丈夫か?」

ハッ

「うんっ大丈夫…!」

「本当か?
もし何か悩みがあるなら─」

「拓海様。
当主様がお呼びです」

「お兄様、呼ばれてるよ?」

「もうそんな時間か…
悪いな遅い時間に押しかけて。
ゆっくり休むんだぞ」

「うんっお兄様も。」

バタン

「…ふぅ…。」

…お兄様、またお父さんに褒められるのかな…。

『お前は欠陥品だ。』

「あははっ…
…嫌なこと思い出しちゃった。」

ピロン

…あ、千歳達だ。

千歳:〘 情報は入ってきたか? 〙

凪沙:〘 今日も第三部から連絡あったよ〜
DIAMONDSの下っ端を名乗るネズミが数人潜り込んできたって 〙

蓮:〘 最近多いねー 〙

昴:〘 じゃ、今日は第三部のシマに行けばいいかー?〙

天音:〘 うん。そうしようか。
いつもの時間までに集合で。 〙

千歳:〘 了解 〙

凪沙:〘 おっけー 〙

昴:〘 分かった! 〙

蓮:〘 OK 〙

…よしっ

トントン

「入って」

「準備が整いました。」

「早いわね。
ありがとう」

私は黒のスーツを身にまとい、家を出た。