天才の、まだ知らない恋愛鬼ごっこ

いやぁ、あれは過酷だった。
 
 自分の立場を理解してるからこそ、誰か付いてきてくれと叫びそうになってしまう。
 
 ま、しょうがないか。
 
 こんなとき、母の言葉が頭に浮かんでくる。
 
 ーー〝力がある強い人は、弱い人を助ける、守る義務があるのよ〟
 
 伸びをし、もう一度ペンを持つ。
 
 だが、体は正直なようで、なかなか仕事は進まない。
 
 ため息をつき、ぽつりと呟く。
 
 「1回くらい、里帰りしてみたかったな」
 
 『じゃあ、手っ取り早く後任育てて行けばいいんじゃないですか?』
 
 「へぁっ!?」
 音の発信源を見ると、そこには、AIが表示されたパソコンがあった。