「何が」
「蘭」
「蘭さん?」
「それ」
「昔からそう呼んでるだろ」
「……そうだけど」
何が言いたいのか。
自分でも分からない。
ただ。
妙に。
その距離のある呼び方が。
今は少し。
嬉しかった。
*
控室へ移ると。
遼河さんは私をソファへ座らせた。
「水」
差し出されたグラスを受け取る。
一口。
「もう一口」
「……子どもじゃないんだから」
「なら、ちゃんと飲め」
「はいはい」
言われるまま。
もう一口飲む。
ジュリアンは状況を確認するため、部屋を出ていった。
扉が閉まる。
二人きりになった途端。
さっきまでの騒がしさが嘘のように。
静かになった。
遼河さんは、私の前に立ったまま。
少し怖い顔をしている。
「……怒ってる?」
「怒ってる」
「私に?」
「違う」
即答。
それだけで。
何だか嬉しくなって。
少し笑った。
「よかった」
「何が」
「私じゃなくて」
「お前に怒る理由がない」
「……そっか」
また。
胸があたたかくなる。
たぶん。
お酒のせい。
全部。
お酒のせい。
そう思うのに。
目の前の遼河さんが。
いつもより。
ずっと近く感じた。
私は。
遼河さんの袖をつまむ。
「綾乃?」
「……座って」
「ここにいる」
「違う。座って」
「何で」
「……遠い」
遼河さんが。
止まった。
私も。
自分で何を言っているのか分からない。
「遠いから……そこ」
「蘭」
「蘭さん?」
「それ」
「昔からそう呼んでるだろ」
「……そうだけど」
何が言いたいのか。
自分でも分からない。
ただ。
妙に。
その距離のある呼び方が。
今は少し。
嬉しかった。
*
控室へ移ると。
遼河さんは私をソファへ座らせた。
「水」
差し出されたグラスを受け取る。
一口。
「もう一口」
「……子どもじゃないんだから」
「なら、ちゃんと飲め」
「はいはい」
言われるまま。
もう一口飲む。
ジュリアンは状況を確認するため、部屋を出ていった。
扉が閉まる。
二人きりになった途端。
さっきまでの騒がしさが嘘のように。
静かになった。
遼河さんは、私の前に立ったまま。
少し怖い顔をしている。
「……怒ってる?」
「怒ってる」
「私に?」
「違う」
即答。
それだけで。
何だか嬉しくなって。
少し笑った。
「よかった」
「何が」
「私じゃなくて」
「お前に怒る理由がない」
「……そっか」
また。
胸があたたかくなる。
たぶん。
お酒のせい。
全部。
お酒のせい。
そう思うのに。
目の前の遼河さんが。
いつもより。
ずっと近く感じた。
私は。
遼河さんの袖をつまむ。
「綾乃?」
「……座って」
「ここにいる」
「違う。座って」
「何で」
「……遠い」
遼河さんが。
止まった。
私も。
自分で何を言っているのか分からない。
「遠いから……そこ」
