『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』

自分で言って。

自分で驚いた。

何言ってるの。

私。

けれど。

離されたくなかった。

遼河さんは一瞬黙ったあと。

「いる」

短く答えた。

その一言だけで。

胸の奥が妙にあたたかくなった。

ふと。

会場の向こうを見る。

早紀子さんと。

蘭。

二人が。

こちらを見ていた。

蘭の表情が。

明らかに強張っている。

それを見た瞬間。

何となく。

分かってしまった。

「あー……」

「どうした」

「また……あの二人かなぁ」

遼河さんの腕へ掴まったまま。

ぼんやり呟く。

「蘭さんたちが?」

その言葉を聞いて。

私は少しだけ顔を上げた。

「……何で、さん付けなの」