そんなことばかり考えていられないほど、向こうでできた家族は私をたくさんの愛情で包んでくれた。
だから私は、あの五年間を笑って過ごすことができたのだと思う。
「綾乃お嬢様」
志水さんの声に、我に返った。
いつの間にか、迎えの車の前まで来ていたらしい。
「こちらへどうぞ」
「あ、ありがとう」
志水さんが後部座席のドアを開け、一歩横へ下がる。
何気なく車内へ目を向け――
私は、その場で足を止めた。
後部座席に、人がいる。
「お帰り、綾乃」
聞き慣れていたはずの声。
けれど、直接耳にするのは五年ぶりだった。
「……お父様」
画面越しでも。
電話越しでもない。
目の前にいる父――鷹宮宏輝。
お父様は私をじっと見つめると、ゆっくりと目元を和らげた。
「元気そうでよかった」
そして、どこか懐かしむように続ける。
「少し……真悠子に似てきたな」
「お父様……」
嬉しいはずなのに。
すぐには次の言葉が出なかった。
記憶の中にいるお父様より、明らかに痩せている。
頬が少し落ち、顔色もどこか冴えない。
五年前にはなかった疲労の影が、その表情に滲んでいた。
「お父様、どうされた――」
言いかけた時。
助手席へ回った志水さんと、バック
