『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』

これで懲りる。

私は。

まだそう思っていた。

――けれど。

蘭は、それくらいで諦めなかった。

その十日ほど後には、遼河さんが登壇する業界セミナーへ現れ。

その後も、取引先のレセプションやチャリティーイベントなど、私たちが仕事で参加する場所へ何度か姿を見せるようになった。

一度なら偶然。

二度でも、まだそう言えるかもしれない。

でも。

回数が増えれば、さすがに話は別だった。

最初は遼河さんへ声をかけるだけだった蘭も。

次第に、私へ直接絡んでくるようになった。

「お姉様、毎日遼河さんと一緒なの?」

「仕事だから」

「秘書って、そんなにずっとそばにいる必要ある?」

「専属秘書だからね」

「仕事が終わってからも連絡取ってるでしょう?」

「業務に関係ない質問には答えません」

何度言っても。

聞かない。

そして。

ある日のレセプション。

とうとう、私の我慢にも限界が来た。

「あのパーティーの時だって、人がいたからあんな言い方をしただけでしょう?」

その言葉に。

足を止めた。

「蘭」

振り返る。

「それ、本気で言ってる?」