『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』

パーティー会場は、都内でも有数のホテルだった。

高い天井から下がるシャンデリア。

中央を華やかに彩る季節の花。

控えめに流れる生演奏。

国内外から集まった招待客たちがグラスを手に談笑し、その間をホテルスタッフが静かに行き交っている。

一年前なら。

こんな場所で遼河さんの隣に立つだけでも緊張していただろう。

今は、もう違う。

挨拶へ来る相手の名前と肩書きを確認し。

必要なら会話へ入り。

次の予定を頭の中で組み替える。

それが自然にできるようになっていた。

「綾乃」

「はい」

遼河さんに呼ばれ、すぐに顔を向ける。

「次は?」

「あちらの方が欧州支社の――」

説明しながら視線を上げた。

その時だった。

人の流れの向こうに。

見覚えのある女性の横顔が見えた。

一瞬。

見間違いかと思った。

けれど。

そのすぐ隣に立つ、もう一人を見た瞬間。

間違いではないと分かった。

早紀子さん。

そして。

蘭。

「……嘘でしょう」

思わず漏れた。