『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』

その言葉に。

私はゆっくり頷いた。

「……因縁みたい」

「そうだな」

「執念っていうか」

そこまで言って。

自分で怖くなった。

何年も。

何年も。

一つの家族と会社に絡みつくように続いてきたもの。

簡単に。

終わるのだろうか。

『半年後に決着をつける』

お父様はそう言った。

でも。

その前に。

今は。

「……治療」

私は小さく呟いた。

何より。

それが一番大事だった。

半年後の決着なんて。

お父様が生きていてこそだ。

過去がどうであれ。

何が隠されていようと。

今はもう。

身体を優先してもらう。

絶対に。

エレベーターが一階へ到着した。

そこには。

志水さんが待っていた。

「綾乃お嬢様」

「志水さん」

私は足を止めた。

「お父様の治療は……これからどうなるの?」

聞きたいことは。

まだ山ほどある。

でも。

今は。

それだけでいい。

志水さんは一度、遼河さんへ視線を向けたあと、私へ戻した。

「まずはこちらで全身状態を整えながら、必要な治療を行います」

「手術も、ここで?」

「いえ」

少し間があった。

「根治治療については、別の場所で行う予定でございます」