胸の奥を。
強く掴まれたような感覚がした。
ステージIII。
その意味を考えようとするのに。
頭が拒否する。
さっきまで。
意識は戻っている。
話もできる。
だから大丈夫だと。
どこかで思おうとしていた。
けれど。
そんな簡単な話ではなかった。
「……二年前?」
今度は、すぐに声が出た。
二年前。
私はまだカリフォルニアにいた。
何も知らずに。
大学を終え。
仕事をして。
真悠子たちと笑っていた頃。
その頃にはもう。
お父様は病気だった。
「診断された時から、医師には手術を含めた根治治療を勧められていた」
「だったら――」
思わず身を乗り出した。
「どうして、すぐ治療しなかったの?」
声が大きくなった。
止められなかった。
「二年前から分かってたんでしょう? それなのに、どうして――」
「治療を何も受けなかったわけではない」
お父様が静かに答えた。
「病状を抑えるための治療も、検査も続けていた。ただ……手術に踏み切れば、しばらく動けなくなる」
一度。
苦しそうに息を吐く。
「私は、それを先延ばしにした」
「そんな……」
「綾乃」
隣から、低い声がした。
振り向く。
遼河さんが私を見ていた。
「最後まで聞こう」
「でも……!」
「分かってる」
静かな声だった。
「言いたいことがあるのは分かる。俺もある」
一度、お父様へ視線を向ける。
「でも今は、宏輝さんに全部話してもらった方がいい」
唇を噛んだ。
納得できない。
でも。
ここで遮れば。
また肝心なところを聞けないままになる。
私はゆっくり椅子へ座り直した。
「……分かった」
お父様が目を伏せた。
「すまない」
「謝ってほしいんじゃない」
思わず返した。
「……そうだな」
寂しそうに笑う。
その顔を見たら。
それ以上、言えなくなった。
お父様は少し呼吸を整えてから。
再び話し始めた。
「もっと早くに、すべてを解決できる予定だったんだ」
「解決……?」
病気の話をしていたはずなのに。
突然出てきた言葉に、眉を寄せる。
「何を?」
「お前を日本から出した理由に関わることだ」
強く掴まれたような感覚がした。
ステージIII。
その意味を考えようとするのに。
頭が拒否する。
さっきまで。
意識は戻っている。
話もできる。
だから大丈夫だと。
どこかで思おうとしていた。
けれど。
そんな簡単な話ではなかった。
「……二年前?」
今度は、すぐに声が出た。
二年前。
私はまだカリフォルニアにいた。
何も知らずに。
大学を終え。
仕事をして。
真悠子たちと笑っていた頃。
その頃にはもう。
お父様は病気だった。
「診断された時から、医師には手術を含めた根治治療を勧められていた」
「だったら――」
思わず身を乗り出した。
「どうして、すぐ治療しなかったの?」
声が大きくなった。
止められなかった。
「二年前から分かってたんでしょう? それなのに、どうして――」
「治療を何も受けなかったわけではない」
お父様が静かに答えた。
「病状を抑えるための治療も、検査も続けていた。ただ……手術に踏み切れば、しばらく動けなくなる」
一度。
苦しそうに息を吐く。
「私は、それを先延ばしにした」
「そんな……」
「綾乃」
隣から、低い声がした。
振り向く。
遼河さんが私を見ていた。
「最後まで聞こう」
「でも……!」
「分かってる」
静かな声だった。
「言いたいことがあるのは分かる。俺もある」
一度、お父様へ視線を向ける。
「でも今は、宏輝さんに全部話してもらった方がいい」
唇を噛んだ。
納得できない。
でも。
ここで遮れば。
また肝心なところを聞けないままになる。
私はゆっくり椅子へ座り直した。
「……分かった」
お父様が目を伏せた。
「すまない」
「謝ってほしいんじゃない」
思わず返した。
「……そうだな」
寂しそうに笑う。
その顔を見たら。
それ以上、言えなくなった。
お父様は少し呼吸を整えてから。
再び話し始めた。
「もっと早くに、すべてを解決できる予定だったんだ」
「解決……?」
病気の話をしていたはずなのに。
突然出てきた言葉に、眉を寄せる。
「何を?」
「お前を日本から出した理由に関わることだ」
