『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』



「お父様……」

やっぱり、おかしい。

これは、ただの海外留学ではない。

どうして突然、私を日本から離すのか。

どうして早紀子さんたちへ知られてはいけないのか。

成人式の日から、お父様は何をしていたのか。

聞きたいことはいくつもあった。

「どうして――」

「綾乃」

静かに名前を呼ばれ、言葉を止める。

お父様はしばらく私を見つめていた。

いつもなら、何を考えているのかほとんど分からない人だった。

けれど、その時だけは違った。

ほんの一瞬。

お父様が苦しそうに目を伏せた。

「いずれ、すべてが分かる時が来る」

その声は、鷹宮グループの代表としてではなく――

父親としてのものに聞こえた。

「それまでは何も聞かず、我慢してくれ」

私は膝の上で両手を握りしめた。

なぜなのかは分からない。

けれど、お父様がここまで言うのなら、きっと何か理由がある。

「……分かりました」

それ以上、何も聞かなかった。

いや。

あの表情を見てしまったら、聞けなかった。