思わず足が止まった。
遼河さんは数歩進んでから、こちらを見る。
「行かないのか」
「あ、はい」
慌ててあとを追う。
胸の奥に。
何かが残った。
冷たい人。
厳しい人。
容赦のない人。
きっと。
それだけなら。
あれほど多くの人が、この人についてくるはずがない。
ジュリアンも。
笹倉さんも。
一ノ瀬さんも。
城之内さんも。
白鳥さんも。
真崎さんも。
それぞれの立場から。
長い時間、この人と一緒に会社を育ててきた。
その理由が。
少しだけ分かった気がした。
午前十一時。
欧州支社とのオンライン会議。
十二時。
予定どおり、遼河さんには三十分の昼食時間を確保した。
そして午後一時。
M&A案件の事前協議。
次から次へと予定が進んでいく。
忙しい。
でも。
面白い。
昨日より。
確実にそう思える。
M&A案件の資料へ目を通していた時だった。
「鷹宮さん」
笹倉さんから呼ばれる。
「はい」
「こちらの企業価値算定について、少し見てもらえますか」
渡された資料へ目を落とす。
買収候補企業の財務資料。
数年分の売上。
営業利益。
キャッシュフロー。
市場予測。
「この成長率ですが」
指を置く。
「はい」
「来年度以降が少し強気に設定されていますね」
「やはり、そう見えますか」
「既存事業だけなら、この伸びは難しいと思います。ただ、新製品の海外展開を含めた数字なら……」
ページをめくる。
「前提条件が資料内で統一されていません」
笹倉さんが身を乗り出す。
「どこです?」
「こちらでは海外展開開始が第二四半期。でも、この収益予測では第一四半期から売上が計上されています」
「……本当だ」
遼河さんは数歩進んでから、こちらを見る。
「行かないのか」
「あ、はい」
慌ててあとを追う。
胸の奥に。
何かが残った。
冷たい人。
厳しい人。
容赦のない人。
きっと。
それだけなら。
あれほど多くの人が、この人についてくるはずがない。
ジュリアンも。
笹倉さんも。
一ノ瀬さんも。
城之内さんも。
白鳥さんも。
真崎さんも。
それぞれの立場から。
長い時間、この人と一緒に会社を育ててきた。
その理由が。
少しだけ分かった気がした。
午前十一時。
欧州支社とのオンライン会議。
十二時。
予定どおり、遼河さんには三十分の昼食時間を確保した。
そして午後一時。
M&A案件の事前協議。
次から次へと予定が進んでいく。
忙しい。
でも。
面白い。
昨日より。
確実にそう思える。
M&A案件の資料へ目を通していた時だった。
「鷹宮さん」
笹倉さんから呼ばれる。
「はい」
「こちらの企業価値算定について、少し見てもらえますか」
渡された資料へ目を落とす。
買収候補企業の財務資料。
数年分の売上。
営業利益。
キャッシュフロー。
市場予測。
「この成長率ですが」
指を置く。
「はい」
「来年度以降が少し強気に設定されていますね」
「やはり、そう見えますか」
「既存事業だけなら、この伸びは難しいと思います。ただ、新製品の海外展開を含めた数字なら……」
ページをめくる。
「前提条件が資料内で統一されていません」
笹倉さんが身を乗り出す。
「どこです?」
「こちらでは海外展開開始が第二四半期。でも、この収益予測では第一四半期から売上が計上されています」
「……本当だ」
