即答だった。
不意打ち。
思わず言葉に詰まる。
こういうところ。
昔と違う。
もっと。
仕事では人を寄せつけない人になっているのだと思っていた。
でも。
きちんと見て。
必要なら、その場で認める。
「……ありがとうございます」
少し遅れて答えた。
その直後。
遼河さんが腕時計を見る。
「昼」
「え?」
「十二時半だ」
一気に現実へ引き戻された。
「あっ」
忘れてた。
いや。
仕事に集中していたのだから仕方ない。
急いで立ち上がる。
「手配してあります。会議終了に合わせて届くようお願いしています」
ちょうどその時。
内線が鳴った。
秘書課へ昼食が届いたらしい。
遼河さんが私を見る。
「準備がいいな」
「秘書ですから」
少し得意げに返す。
数分後。
デスクへ昼食を並べる。
消化が重くならない和食のお弁当。
汁物。
飲み物。
「十五分で食べられて、午後に眠くなりにくいものを選びました」
「分かった」
遼河さんが箸を取る。
私は自分の端末を持ち上げた。
「では、私は外で――」
「どこへ行く」
「昼食ですが」
「ここで食べろ」
「……はい?」
「お前の分もあるだろう」
もちろん。
自分用にも注文してある。
「秘書課でいただきます」
「ここでいい」
「なぜですか?」
「午後の予定を確認しながら食べる」
仕事と言われれば。
断りにくい。
「……分かりました」
仕方なく応接テーブルへ自分の分を置く。
向かいへ座る。
二人で食べ始める。
沈黙。
何これ。
昨日まで十三年間、ほとんど会っていなかった人と。
その翌日。
会社の執務室で向かい合ってお弁当を食べている。
人生の展開が早すぎる。
「綾乃」
「はい」
「午後の会議の資料――」
「食べながらですか?」
「ああ」
「休憩時間とは」
「話すだけだ」
「それを仕事と言うのでは?」
遼河さんの箸が止まる。
ほんのわずかに。
笑ったように見えた。
「嫌なら、食べ終わってからでいい」
「そうします」
「分かった」
……引いた。
意外。
もっと押してくると思った。
「何だ」
「いえ」
「何か言いたそうだな」
「別に」
視線を弁当へ戻した。
ほんの少しだけ。
昔の遼河さんを思い出した。
不意打ち。
思わず言葉に詰まる。
こういうところ。
昔と違う。
もっと。
仕事では人を寄せつけない人になっているのだと思っていた。
でも。
きちんと見て。
必要なら、その場で認める。
「……ありがとうございます」
少し遅れて答えた。
その直後。
遼河さんが腕時計を見る。
「昼」
「え?」
「十二時半だ」
一気に現実へ引き戻された。
「あっ」
忘れてた。
いや。
仕事に集中していたのだから仕方ない。
急いで立ち上がる。
「手配してあります。会議終了に合わせて届くようお願いしています」
ちょうどその時。
内線が鳴った。
秘書課へ昼食が届いたらしい。
遼河さんが私を見る。
「準備がいいな」
「秘書ですから」
少し得意げに返す。
数分後。
デスクへ昼食を並べる。
消化が重くならない和食のお弁当。
汁物。
飲み物。
「十五分で食べられて、午後に眠くなりにくいものを選びました」
「分かった」
遼河さんが箸を取る。
私は自分の端末を持ち上げた。
「では、私は外で――」
「どこへ行く」
「昼食ですが」
「ここで食べろ」
「……はい?」
「お前の分もあるだろう」
もちろん。
自分用にも注文してある。
「秘書課でいただきます」
「ここでいい」
「なぜですか?」
「午後の予定を確認しながら食べる」
仕事と言われれば。
断りにくい。
「……分かりました」
仕方なく応接テーブルへ自分の分を置く。
向かいへ座る。
二人で食べ始める。
沈黙。
何これ。
昨日まで十三年間、ほとんど会っていなかった人と。
その翌日。
会社の執務室で向かい合ってお弁当を食べている。
人生の展開が早すぎる。
「綾乃」
「はい」
「午後の会議の資料――」
「食べながらですか?」
「ああ」
「休憩時間とは」
「話すだけだ」
「それを仕事と言うのでは?」
遼河さんの箸が止まる。
ほんのわずかに。
笑ったように見えた。
「嫌なら、食べ終わってからでいい」
「そうします」
「分かった」
……引いた。
意外。
もっと押してくると思った。
「何だ」
「いえ」
「何か言いたそうだな」
「別に」
視線を弁当へ戻した。
ほんの少しだけ。
昔の遼河さんを思い出した。
