「改めまして、明後日からよろしくお願いいたします」
私が頭を下げると、ジュリアンが満足そうに頷いた。
「これで主要メンバーは、ほぼ紹介できた」
「ほぼ?」
「ああ」
ジュリアンが腕時計を見る。
「あと一人」
城之内さんも時刻を確認した。
「CEOは先ほどまで別件の会議へ出席されていました。間もなくお見えになるはずです」
私は小さく頷いた。
もちろん。
顔合わせが決まってから、KSサイエンスについて調べられることは一通り調べた。
けれど、この会社は少し変わっていた。
会社や技術に関する情報はいくらでも出てくるのに、CEO本人に関する情報だけが妙に少ない。
メディアへの個人露出をほとんど避け、対外向けの資料でもCEOについてはイニシャル表記が中心。
顔写真も、詳しい経歴も公表されていなかった。
ジュリアンから渡された採用関係の資料にも、業務内容や待遇、秘書として求められる役割は細かく記されていたのに。
なぜか、CEO個人についての情報だけは徹底して省かれていた。
一度、ジュリアンに尋ねたこともある。
けれど。
『会えば分かるよ』
笑って、それだけ。
今思えば。
あの時点で、もっと疑うべきだったのかもしれない。
どんな人なのだろう。
ジュリアンと長年会社を経営しているくらいだから、相当癖が強い可能性もある。
――ジュリアンの仲間だもの。
少しだけ警戒しておいた方がいいかもしれない。
そんなことを考えた、その時。
会議室の扉が開いた。
私が頭を下げると、ジュリアンが満足そうに頷いた。
「これで主要メンバーは、ほぼ紹介できた」
「ほぼ?」
「ああ」
ジュリアンが腕時計を見る。
「あと一人」
城之内さんも時刻を確認した。
「CEOは先ほどまで別件の会議へ出席されていました。間もなくお見えになるはずです」
私は小さく頷いた。
もちろん。
顔合わせが決まってから、KSサイエンスについて調べられることは一通り調べた。
けれど、この会社は少し変わっていた。
会社や技術に関する情報はいくらでも出てくるのに、CEO本人に関する情報だけが妙に少ない。
メディアへの個人露出をほとんど避け、対外向けの資料でもCEOについてはイニシャル表記が中心。
顔写真も、詳しい経歴も公表されていなかった。
ジュリアンから渡された採用関係の資料にも、業務内容や待遇、秘書として求められる役割は細かく記されていたのに。
なぜか、CEO個人についての情報だけは徹底して省かれていた。
一度、ジュリアンに尋ねたこともある。
けれど。
『会えば分かるよ』
笑って、それだけ。
今思えば。
あの時点で、もっと疑うべきだったのかもしれない。
どんな人なのだろう。
ジュリアンと長年会社を経営しているくらいだから、相当癖が強い可能性もある。
――ジュリアンの仲間だもの。
少しだけ警戒しておいた方がいいかもしれない。
そんなことを考えた、その時。
会議室の扉が開いた。
