怖い。
でも。
その怖さの奥に。
別の何かがあった。
小さく。
まだ名前を付けることもできない。
期待に似たもの。
私は慌ててスマートフォンを伏せた。
「違うかもしれない」
誰に聞かせるわけでもなく。
小さく呟いた。
疲れているだけ。
環境が変わったせい。
周期がずれることだってある。
理由なんて。
いくらでもある。
それなのに。
その日の午後。
私は何度も。
無意識に。
自分のお腹へ手をやっていた。
*
帰り。
遼河さんには何も言わなかった。
一人でドラッグストアへ寄った。
店内を歩くだけなのに。
妙に周囲が気になる。
誰も私のことなど見ていない。
分かっているのに。
目的の棚へ近づくほど。
心臓が速くなった。
一つ手に取る。
説明を見る。
また戻す。
違うものを取る。
そんなことを何度か繰り返して。
結局。
最初に手へ取ったものを買った。
レジ袋を受け取った時。
急に。
現実味が増した。
家へ帰るまで。
バッグの中にある小さな箱が。
ずっと。
大きな存在感を持っていた。
帰宅して。
着替えて。
手を洗って。
それでも。
すぐには使えなかった。
洗面台の前へ置いた箱を。
何度も見た。
「……違うかもしれない」
もう一度。
声にしてみる。
ただの疲れ。
ただの遅れ。
そんなことは珍しくない。
結果が違えば。
笑えばいい。
考えすぎだった。
そう言って。
明日からまた。
いつもの生活へ戻ればいい。
でも。
確認しなければ。
何も分からない。
私は。
ゆっくり。
箱を開けた。
説明書を読む。
一度読んで。
もう一度読む。
頭へ入ってこない。
「落ち着いて……」
自分へ言い聞かせた。
それから。
書かれている通りにして。
待った。
たった数分。
普段なら。
何でもない時間。
でも。
その数分が。
信じられないほど長かった。
洗面台へ置いたまま。
まともに見られず。
一度。
部屋を出た。
戻る。
また出る。
「……まだ?」
時計を見る。
もう。
確認する時間は過ぎていた。
逃げても。
結果は変わらない。
私は。
ゆっくり。
それを手へ取った。
そして。
固まった。
「……」
二本。
はっきり。
見間違えようのない。
二本。
でも。
その怖さの奥に。
別の何かがあった。
小さく。
まだ名前を付けることもできない。
期待に似たもの。
私は慌ててスマートフォンを伏せた。
「違うかもしれない」
誰に聞かせるわけでもなく。
小さく呟いた。
疲れているだけ。
環境が変わったせい。
周期がずれることだってある。
理由なんて。
いくらでもある。
それなのに。
その日の午後。
私は何度も。
無意識に。
自分のお腹へ手をやっていた。
*
帰り。
遼河さんには何も言わなかった。
一人でドラッグストアへ寄った。
店内を歩くだけなのに。
妙に周囲が気になる。
誰も私のことなど見ていない。
分かっているのに。
目的の棚へ近づくほど。
心臓が速くなった。
一つ手に取る。
説明を見る。
また戻す。
違うものを取る。
そんなことを何度か繰り返して。
結局。
最初に手へ取ったものを買った。
レジ袋を受け取った時。
急に。
現実味が増した。
家へ帰るまで。
バッグの中にある小さな箱が。
ずっと。
大きな存在感を持っていた。
帰宅して。
着替えて。
手を洗って。
それでも。
すぐには使えなかった。
洗面台の前へ置いた箱を。
何度も見た。
「……違うかもしれない」
もう一度。
声にしてみる。
ただの疲れ。
ただの遅れ。
そんなことは珍しくない。
結果が違えば。
笑えばいい。
考えすぎだった。
そう言って。
明日からまた。
いつもの生活へ戻ればいい。
でも。
確認しなければ。
何も分からない。
私は。
ゆっくり。
箱を開けた。
説明書を読む。
一度読んで。
もう一度読む。
頭へ入ってこない。
「落ち着いて……」
自分へ言い聞かせた。
それから。
書かれている通りにして。
待った。
たった数分。
普段なら。
何でもない時間。
でも。
その数分が。
信じられないほど長かった。
洗面台へ置いたまま。
まともに見られず。
一度。
部屋を出た。
戻る。
また出る。
「……まだ?」
時計を見る。
もう。
確認する時間は過ぎていた。
逃げても。
結果は変わらない。
私は。
ゆっくり。
それを手へ取った。
そして。
固まった。
「……」
二本。
はっきり。
見間違えようのない。
二本。

