一瞬。
意味が分からなかった。
聞こえたはずなのに。
頭が追いつかなかった。
「……え?」
「ずっと、お前は特別だった」
「……いつから?」
その問いに。
遼河さんは少しだけ考えた。
「いつからが恋だったのかは、正直、自分でも分からない」
「……分からないの?」
「ああ」
遼河さんが、遠い昔を思い出すように目を細めた。
「十六の俺が、十歳のお前を恋愛対象として見ていたわけじゃない。あの頃はただ、放っておけなかった」
来ているはずなのに姿が見えなければ探した。
何をしているのか気になった。
泣いていれば気になって。
笑っていれば、なぜか安心した。
「最初は、それだけだった」
「……うん」
「ただ」
遼河さんの目が、私へ戻る。
「お前が俺を避けるようになって。それでも気になって。会えなくなっても忘れなくて」
一度。
言葉を切る。
「本当にいなくなった時に、やっと嫌でも分かった」
胸が鳴った。
「……何が?」
「ただの幼馴染に向ける気持ちじゃなかったってことだ」
私は言葉を失った。
「だから」
少しだけ。
遼河さんが困ったように笑う。
「昔から大事だった。それが恋だと自覚したのは、もっと後だ」
その言葉が。
不思議なくらい。
胸へすっと入ってきた。
十三歳の私が。
もし。
今の言葉を聞いていたら。
どうしていただろう。
あんなに泣かなくて済んだだろうか。
違う人生になっていただろうか。
そんな考えが、一瞬だけ頭を過った。
けれど。
もう。
過去に戻りたいわけではなかった。
「成人式のあと、お前がいなくなると聞いた。海外へ行ったことまでは分かった」
「……うん」
「でも、詳しい居場所は教えてもらえなかった」
「お父様が隠したから」
「ああ」
遼河さんの目が、わずかに揺れた。
「それでも探した」
「……え?」
「そのままの意味だ」
「何年も?」
「ああ」
「ずっと?」
「ずっと」
信じられなかった。
私だけだと思っていた。
私だけが。
忘れられなくて。
諦めきれなくて。
何年も引きずっていたのだと思っていた。
「何で……」
声が震えた。
遼河さんは。
まるで答えなど一つしかないという顔で言った。
「好きだったからに決まってるだろ」
涙が。
また溢れた。
今度は。
止めようとも思わなかった。
「……遅い」
「何が」
「それ……もっと早く言ってよ」
「お前がいなかった」
「そうだけど……」
「再会してからも、お前は蘭さんのことばかり気にして、俺の話をまともに聞かなかった」
「……それは……」
「だから今言ってる」
遼河さんの目が。
真っ直ぐ私を捉える。
「俺が探してたのは、お前だ」
意味が分からなかった。
聞こえたはずなのに。
頭が追いつかなかった。
「……え?」
「ずっと、お前は特別だった」
「……いつから?」
その問いに。
遼河さんは少しだけ考えた。
「いつからが恋だったのかは、正直、自分でも分からない」
「……分からないの?」
「ああ」
遼河さんが、遠い昔を思い出すように目を細めた。
「十六の俺が、十歳のお前を恋愛対象として見ていたわけじゃない。あの頃はただ、放っておけなかった」
来ているはずなのに姿が見えなければ探した。
何をしているのか気になった。
泣いていれば気になって。
笑っていれば、なぜか安心した。
「最初は、それだけだった」
「……うん」
「ただ」
遼河さんの目が、私へ戻る。
「お前が俺を避けるようになって。それでも気になって。会えなくなっても忘れなくて」
一度。
言葉を切る。
「本当にいなくなった時に、やっと嫌でも分かった」
胸が鳴った。
「……何が?」
「ただの幼馴染に向ける気持ちじゃなかったってことだ」
私は言葉を失った。
「だから」
少しだけ。
遼河さんが困ったように笑う。
「昔から大事だった。それが恋だと自覚したのは、もっと後だ」
その言葉が。
不思議なくらい。
胸へすっと入ってきた。
十三歳の私が。
もし。
今の言葉を聞いていたら。
どうしていただろう。
あんなに泣かなくて済んだだろうか。
違う人生になっていただろうか。
そんな考えが、一瞬だけ頭を過った。
けれど。
もう。
過去に戻りたいわけではなかった。
「成人式のあと、お前がいなくなると聞いた。海外へ行ったことまでは分かった」
「……うん」
「でも、詳しい居場所は教えてもらえなかった」
「お父様が隠したから」
「ああ」
遼河さんの目が、わずかに揺れた。
「それでも探した」
「……え?」
「そのままの意味だ」
「何年も?」
「ああ」
「ずっと?」
「ずっと」
信じられなかった。
私だけだと思っていた。
私だけが。
忘れられなくて。
諦めきれなくて。
何年も引きずっていたのだと思っていた。
「何で……」
声が震えた。
遼河さんは。
まるで答えなど一つしかないという顔で言った。
「好きだったからに決まってるだろ」
涙が。
また溢れた。
今度は。
止めようとも思わなかった。
「……遅い」
「何が」
「それ……もっと早く言ってよ」
「お前がいなかった」
「そうだけど……」
「再会してからも、お前は蘭さんのことばかり気にして、俺の話をまともに聞かなかった」
「……それは……」
「だから今言ってる」
遼河さんの目が。
真っ直ぐ私を捉える。
「俺が探してたのは、お前だ」

