翌日、僕は転送装置を使って火星までやって来た。隣には、ハートがいる。
今日は、ハートとともに火星支部へ応援という形で来ているんだ。転送ゲートがあるのは、地球と同じ重力の働く火星都市の中心。支部までは、少し距離がある。
「……火星なんて、初めて来る……それにしても、火星の空って赤茶色なんだね」
火星の空を、ハートは見上げる。
「そうだよ。火星では、青い夕焼けが見れるよ」
「そうなんだ!見てみたいかも」
そんな会話をしながら、火星支部へと目指した。火星都市で暮らす人々が話しているのは、「火星語」。
火星人にしか発音の出来ない音のある言語だ。火星人の話す月語は訛りが凄くて、たまに翻訳機を使わないと分からないほどだ。訛らずに話してくれる人もいるんだけどね。
「――、ウチュ、ボエイ隊のヒト、――?」
カタコトな月語が聞こえてきて、僕は声がした方を見る。そこにいたのは、まだ小学生くらいの男の子だった。
「うん、そうだよ。どうしたの?」
ハートは男の子と目線を合わせて、笑って問いかける。
「――、――、ツキゴ、アマリ、分かナイ」
一生懸命、僕らに月語で話そうとしてくれているけど、僕らに通じないのかシュン、と俯いてしまった。
「……」



