隣の席の佐竹くんには…


…何?

目を開けると、女子たちは背後にある窓のほうへ視線を向けて驚いている。

その視線の先へゆっくりと振り返った。


…佐竹君。

なんでここに?

佐竹君は窓のレールに足をかけると、スタン…とあまり音を立てず身軽にこちら側へ飛び降りてきた。

忍者みたい。


「梅沢さん、大丈夫?」
「う、うん…」

あ。やばい。

ちょっとキュンとした。

「宮下さんが心配してたから、ちょっと気になって。気のせいだったら良かったんだけどー…」

そこまで言って佐竹君は女子たちに顔を向けた。

「さっき、梅沢さんのこと叩こうとしてたよね?どうして?」

一瞬、イラ子がギクッと動揺を見せるが、すぐにバカにしたような笑みをみせた。

「えー、なに?佐竹がヒーロー気取り?ウケるんだけどー!」

女子たちの高らかな笑い声が校舎に反射して響いた。

…あぁ、またイライラしてきた。

「てか、ちょうどいい機会だわ。あんたに忠告しておきたい事があったんだよねぇ」

サイドの髪を指先にクルクルと巻き付けながら、イラ子が佐竹君を睨みつける。

「なに?」

「ライト君の側から離れてくれない?すっごい迷惑」

「……」

佐竹君は、何も言わないその代わり、ゆっくりと視線を落とした。