少しして、ライトは再び視線を漫画本に戻すと言う。
「まぁ、気になるよね。佐竹とオレ、見た目が正反対だもんな」
「ライトが佐竹君を脅してるようにしか見えない」
「素直に言いすぎじゃね?言っとくけど、オレより佐竹のが強いからな」
…えっ?
強い?
佐竹君が?
「嘘くさいんだけど…」
「ホントだって」
「……」
一応、佐竹君の姿を頭に思い浮かべてみる。
細身の身体に、のれんのような前髪。
そして想像の中の佐竹君に格闘っぽい動きをさせてみる。
(弱そー…)
あ。
鎧なんか着せてみたらどうだろうか。
それなら強くみえー………
「弱そー…」
「いらない想像してるだろ」
呆れたように笑ってから「まぁ、とにかく」とライトは言う。
「佐竹は梅沢が思ってるようなヤツじゃないってことは言っておくよ」
思ってるようなヤツじゃない、か…。
確かに、そうかもしれない。
数分前に、佐竹君と言葉を交わした時に感じた。
結構、普通に話せるかも…って。
それまで抱いていた印象は『暗い』とか『大人しそう』とか。
マニアックな事をいうと『自分のこと”ボク”って言いそう』とか。
そんな勝手なイメージを膨らませていたけれど、実際は全然違った。
言動全てが意外だった。
……いや、違う。
勝手に”弱い”佐竹君を創り上げていたのだから”意外”というのはちょっと違うのかも。
と、なると”意外”だと思っていた部分が、本来の部分ってことなのかな?
(佐竹君ってどんな人なんだろう…?)
もっと話すようになったら、外見だけじゃ解らない事がもっと知れそうな気がする。
のれん髪のあの奥にはどんな佐竹君がいるのだろうか…。
「知りたいかも…」
ポツリと声が漏れた。
自分でも気づかないうちに。
そんな無意識に発せられた小さな呟きに、ライトは驚いたように目を丸くさせた。
相変わらず感情を読み取るのが難しいポーカーフェース。
それにライトは何かを感じとったのか、密かにフッと笑った。
